【インタビュー】

「歯周病予防プログラム」で知る歯間ブラシの効果的な使用法

    四十物恵妙  [2010/02/12]

    成人の80%以上がかかっているといわれる歯周病。歯間ブラシなどを使ってセルフケアできるというが、「習慣化」するのは難しいものだ。ところが1年後の歯間ブラシ継続率が約9割という「歯周病予防プログラム」があるという。開発した(財)ライオン歯科衛生研究所を訪ね、プログラムの内容について伺った。

    「歯周病は自分で気づき治す病気!」

    さて、歯周病にはどんな特徴があり、どんな症状があるのか? 実際にこのプログラムの開発・保健指導を行った歯科衛生士の武井氏は、歯周病の特徴を次の「3つのS」で表現することで、「予防や治療には自分の努力が欠かせない病気」だという意識づけをしたという。

    • Silent disease…静かに痛みがなく進行する病気
    • Social disease…成人の80%以上がかかっている国民病
    • Self controllable disease…自分自身の努力によって治す病気

    歯周病はその進行度によって歯肉炎と歯周炎の2段階に分かれる。歯肉炎の症状は、歯肉が赤みを帯びる、歯磨きなどの軽い刺激で出血するなど。この段階であれば適切なセルフケアを続けることで改善ができるが、放っておくと症状は悪化し、やがて歯槽骨が破壊される歯周炎に。歯がグラグラしたり、口臭が強くなったりなどの症状が現れ、歯科医による専門的な治療が必要になる。早い段階で病気に気付き治すことが非常に大事だという。

    また、歯周病は生活習慣とも密接な関わりがあり、不規則な生活やストレス、喫煙などもリスクファクター(危険因子)のひとつ。歯周病とメタボにも密接な関係があるとされているそうだ。

    意外と知らない歯間ブラシの効果的な使用法とは?

    最後に自分でできる歯グキの健康チェック法と効果的な歯間ブラシの使い方を聞いた。歯グキの状態や歯間ブラシの効果を「客観的な指標」でセルフチェックすることで、モチベーションを上げることができるという。

    1.歯グキの健康チェック

    まずは、現在の歯グキの健康度を確認しよう。色、形、感触、出血の4つのポイントから見分けられる「歯グキのSOSチェック表」で確認する。1つでもSOS項目に該当すれば歯グキのSOS信号だ。

    ■チェック表1―歯グキのSOSチェック表

    チェック項目 健康 SOS
    1 歯肉の色 ピンク色 赤色
    2 ○内の歯肉の形(※) 三角 丸い
    3 歯肉の感触 ピチピチ ブヨブヨ
    4 歯グキの出血 ない ある

    歯肉の形は写真を参照

    2.歯間ブラシの使い方

    歯間ブラシのサイズはメーカーにもよるが、SSSS~LLまで7種類のサイズがある。かかりつけの歯科医や歯科衛生士に歯間ブラシのサイズも選んでもらうのがベストだが、自分で選ぶ場合は無理なく入っていく大きさが適正サイズ。大きいサイズのものを無理に入れると歯肉が傷つくので注意したい。歯と歯のすき間がほとんどなく、一番小さいサイズのものでも入らなければ、デンタルフロスがいいという。

    歯間ブラシを使うときは鏡を見ながら。歯肉を傷つけないようにゆっくり歯と歯の間に入れ、前後に2~3回動かして清掃。奥歯は内側からも入れる。ポイントは歯グキに沿わせて入れ、水平に動かすこと。歯並びが悪いところや、利き手側(右利きなら右側)の犬歯などが歯磨きがしにくい場所なので特に丁寧に。ブリッジ(歯の抜けた部分を両脇の歯をつないで橋渡しする治療法)がある人はブリッジと歯肉の間に内側からもブラシを入れる。歯間ブラシと一緒に使用するフッ素配合の薬用歯間ジェルも市販されているので試してみるといいかもしれない。

    歯間ブラシを使ったケアは1日1回で良いそう。寝る前に徹底的に清掃するというのもいいが、「まずは使うことが大事」と同氏。自分の生活リズムに合わせ、都合のいい時間帯を選ぼう。食べもののカスなどが詰まったときにも使えるようカバンにも入れておきたい。使用後は良く洗って乾燥させる。ブラシ部分の毛がなくなったり、途中で折れ曲がってしまったりしたら交換時。目安は1週間程度。

    赤い色の部分が歯垢のみがき残しやすい場所

    鉛筆を持つように持つと操作しやすい。歯肉を傷つけないようにゆっくり歯間ブラシを入れる

    歯間ブラシを水平にして歯面に沿わせて前後に2~3回動かして清掃する

    歯間ブラシを隣り合った前後の歯に沿わせて軽く当てて清掃する

    画像提供 : ライオン歯科衛生研究所「歯周病予防プログラム」 ~セルフチェック版~

    3.空気や水が通る感覚を覚えよう

    初めて歯間ブラシを使用した後は、使用後1カ月ぐらいには、使用後の歯グキをチェックし、その効果を確認することにより、歯間ブラシの威力が確認できる。「すっきり感」を体で覚えれば、歯間ブラシによるケアが楽しくなっていくはずだ。

    チェック表2―歯間ブラシ使用後の歯グキの健康チェック

    (1)ブラシにネバツキのあるものがついていませんか→普段の歯みがきでは落としきれなかった、みがき残しの歯垢です。
    (2)ブラシについた歯垢のにおいを確認してみましょう→古い歯垢はとてもイヤなニオイがするので、口臭の原因にもなります。
    (3)食べかすがスッキリとれた感覚がありますか
    (4)歯と歯の間に空気が通る感覚がありますか
    (5)うがいのとき、歯と歯の間に水が通る感覚がありますか
    (6)歯グキから出血しましたか→もし出血があっても2~3日で解消します。それ以上出血が続いたら、かかりつけ歯科医に相談してください。

    「かかりつけ医」を持つことも大切

    自分の心がけ次第で歯周病は予防できる。ただ「プロの目」も必要だ。定期的に歯科医院で検診してもらい、必要があれば歯石もとってもらおう。「歯科医や歯科衛生士によるプロのケアとセルフケアはいわば『車の両輪』」と武井氏。ぜひかかりつけ歯科医を持ち、歯間ブラシの使い方についてもアドバイスをもらうといいという。

    最後に両氏は同研究所がコンセプトにしているという「健口美」について紹介してくれた。「例えば旅行が好きだとすれば、旅先でおいしいものを食べ、人とおしゃべりし、楽しくて笑いますよね。つまり『食べる』『話す』『笑う』ための口の健康というのは、人生を楽しむため、生活の質(QOL)を向上させるためにもとても大事なんです。お口の健康が下がるとその楽しみも下がることをぜひ知ってほしいですね」

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