ドアラもやってきた名古屋場所

ライブハウスにあふれそうなほどのニコニコ動画ユーザー。11日に名古屋・THE BOTTOM LINEで開催された『ニコニコ大会議2009~2010 ニコニコ動画(9) 全国ツアー in 名古屋』には、どの地域よりも多い600名ものユーザーが集結した。これは……ドアラ効果?

名古屋会場にあらわれた特別ゲストのドアラ

前日の大阪に続き2日連続公演となった、ニコニコ大会議 名古屋場所。そして前日の袴姿とは違っていたってラフな格好で登場した"西村博之(ひろゆき)&夏野剛"コンビ(着付けをしてくれた蝉丸Pがいないことが原因)。さらにこの両人を上回る歓声で迎えられたのが、ご存じ中日ドラゴンズの人気マスコット・ドアラである。

ドアラとユーザーたちで「LOVE&JOY」。ドアラの動きが不規則すぎて撮るのが難しい……

「勝手に九州親善大使」のたすきを掛けて登場したドアラ。巻き起こるドアラコールを前にさっそく舞台を去ろうとするが、ニコニコ動画とドアラといえば……そう『LOVE&JOY』。ドアラと踊る気満々のユーザーを従えてダンスパフォーマンスが開始された。緩急自在のフリーダムすぎる振る舞いで歓声を浴びるドアラ。息のあった動きを見せるダンサーたちとは対照的な動きを続け、終われば恐縮気味に去ろうとするなど、会場はドアラに釘付け。舞台袖に消えるドアラに名残惜しそうな観客だったが、この後、ある意味ドアラ以上に掴み所のない空気をまとう人物が登場した。

期待の新サービス「ニコニコDVD」

名古屋イベントで発表されたニコニコ動画(9)の新機能が『ニコニコDVD』。映画などのDVDビデオを見ているときも、ニコニコ動画でおなじみの"コメント共有"が楽しめるようにしようという機能だ。利用するには専用アプリケーション「ニコニコDVDアプリ」のインストールが必要になる(Windows版のみ)。このアプリを使ってDVDビデオを再生し、コメントを投稿することで、他のユーザーのコメントも非同期で楽しめるようになる。会場からは「よくやった!」と好意的な声が上がっていた。

ニコニコDVDのページでは、対応タイトルを確認できる

ここで夏野氏は、ニコニコDVDを盛り上げていくには、ユーザーが観賞するDVDビデオにある程度のコメントが集まっていないと楽しくないと説明。そこでビデオレンタル事業などを展開するゲオ(GEO)と共同キャンペーンを実施する。同サービスに対応中のタイトル(当初は40~80)をゲオオンラインでレンタルできるように誘導するほか、ゲオショップ店頭でも案内していくとのこと。ひろゆき氏からは、まずは全員で試してみようということで、1月16日(土) 15時から「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」でニコニコDVDの体験会を実施することも発表された。試してみたいユーザーは、同タイトルを入手しておこう。「なるべく最初だけはゲオさんから借りてください」(ひろゆき氏)。

ゲオ代表取締役会長 沢田喜代則氏。味のある対応を見せていた

さて、新サービス発表時に独特の雰囲気を醸し出していたのが、ゲオ代表取締役会長 沢田喜代則氏だ。「TSUTAYAで借りたものは再生できない機能を検討」「ゲオで買ったものしか再生できないように」……などと冗談を飛ばし、ゲオショップが近所にないという申し立てには、「ネットで借りて♪ 自宅に……」とどこかで聞いた他社のキャッチを口ずさむ。「わりと芸達者なんですね(笑)」と、ひろゆき氏も肩書きとは似つかない会長の言動を楽しんでいた。

関係者によると、ニコニコDVDは2年近く練ってきた企画だという。ニコニコ動画の醍醐味である"コメントの共有"。この作品に別の楽しみを与える機能は、DVDビデオ観賞に新たな楽しみ方をもたらしそうだ。一度観た作品でも、ニコニコDVDを利用すれば見方が変わるかもしれない。なお、専用アプリのMac OS X版については未定とのことだ。

再認識! ニコ動から飛び立つ才能たち

この日のユーザーゲストも多彩なライブが見られた。オープニングのナレーションも務めた赤飯が歌う『Mrs.Pumpkinの滑稽な夢』(ハチ)。ほぼ別人格とも思えるような声色を使い分け、観客を赤飯ワールドに引き込んだ。その後もエンディングで「かわいいメイドさん」と紹介されてメイド姿で登場。『撲殺天使ドクロちゃん』をときに野太い声を混ぜる赤飯テイストに仕上げて、笑いも巻き起こした。

多彩な声色を使い分けるだけでも感嘆なのに、トークでもライブパフォーマンスでも観客を楽しませる赤飯。多芸すぎます

SF作家の野尻抱介氏であり、ニコニコ技術部として作品も制作する尻Pと、VOCALOIDなどの作曲家やほのぼの絵師としても有名なワンカップPも登場。尻Pが制作した"パンツ型オーニソプター"──鳥のように羽ばたく模型飛行機だが、パンツ型──に、その場でワンカップPが絵を描いて会場内を飛ばすという試みに挑戦した。

ワンカップP(左)がイラストを描いたパンツ型オーニソプターを持つ尻P

歌い手では、花たんも伸びやかな歌声を披露した。『ロミオとシンデレラ』(doriko)を歌い上げてから「緊張したよ!」とかわいらしく叫ぶと、一際大きな歓声を受けていた。アンコールでは、花たんと特別ゲストのASK(あすけ)の二人による『ワールドイズマイン』。観客も参加して最高の盛り上がりを見せていた。

ASKを迎えてのアンコール。花たんとのデュエットに集まったユーザーも大喜び!

名古屋ツアーにもさまざまな才を持ったユーザーが集まった。夏野氏は、ニコニコ動画から生まれたパフォーマーたちを前に、「ニコ動で音楽業界、芸術業界が変わる。古いオジサンたちが発掘して売り出すという時代は終わった」とコメント。これからもユーザーの声で新しいものを生み出していきたいと話した。

さまざまな才能を持つユーザーが飛び立てる場所を提供してきたニコニコ動画。全国ツアーを通じて各地のユーザーと触れ合うことで、改めてその役割を実感しているようだった。