海外に旅行したことがある人なら、飛行機に乗る際に手荷物の重量制限があることは知っているだろう。ただ一昔前は手荷物に関する規定がそれほど効力を発揮しておらず、特に団体ツアーで旅行する場合は、多少重量がオーバーしても超過料金を取られることなく荷物を預けることができた(団体全体を見た場合、荷物が多い人もいれば、少ない人もいるであろうという見解に基づいているらしい)。

しかし2009年、この暗黙のルールが崩れ、各航空会社の手荷物の重量チェックが厳密になった。過去の経験からたいしたことはないだろうとタカをくくっていた筆者は、その事実を垣間見るチャンスが何度かあり認識を改めた。

ハワイでは、チェックイン時に重量オーバーを指摘された乗客が、その場でスーツケースを開けて規定の重量に収まるまで荷物を出し入れし、何度も計測する光景を見た。またサンフランシスコでは、スーツケースから出せる荷物がないからと、泣く泣く手荷物の超過料金として5,000円を支払う人に遭遇した。

楽しかった旅行が、余計な出費によって最後の最後で後味が悪くなってしまったというわけである。

なお、超過料金は航空会社や行き先によって異なる。先日ご一緒したツアーコンダクターの方によると、大抵の航空会社は手荷物を2個まで預けられるので、荷物を分けることで重量オーバーを避けるという手もあるそうだ。

前述のサンフランシスコの人も荷物を2個に分けておけば、超過料金を支払う必要がなかったかもしれない。つまり、受託手荷物に関する情報を知っているのと知らないのとでは、旅に対する満足度が変わってくるのだ。

「出張の時は買い物をしないから大丈夫!」という方もいるかもしれない。しかし、紙の資料を大量にもらったり、名産のワインをつい買ってしまったり、お土産のチョコレートが大量になってしまったりなど、出張でも荷物が増えてしまう可能性は大いにある。

少々前置きが長くなってしまったが、読者の皆さんが海外出張に行った際に受託手荷物の超過で困ることがないよう、本企画では、日本のビジネスマンの利用が多いと思われる航空会社の国際線受託手荷物の規定をまとめておこう。

日本航空 - 23kg~32kgまでは5,000円の超過料金

日本航空では、「米国(グアムを含む)、カナダ、メキシコ発着便」、「ブラジル発着便(JL047/048)」、「米国(グアムを含む)・カナダ・メキシコ・ブラジル以外の発着便(ヨーロッパ、アジアなど)」(以下、ヨーロッパ・アジア発着便)の3グループに分けて、受託手荷物に関する規定を設けている。

さらに各グループにおいて、「ファーストクラス」、「エグゼクティブクラス」、「プレミアムエコノミー」、「エコノミークラス」に規定が分かれている。独断だが、お金持ちは手荷物の重さなんか気にしないだろうと仮定して、ここでは「プレミアムエコノミー」と「エコノミークラス」についてのみ紹介したい。

日本航空国際線のプレミアムエコノミーとエコノミークラスの手荷物のサイズ規定

米国(グアムを含む)、カナダ、メキシコ発着便では、重量が23kg(50ポンド)を超えない荷物を2個まで無料で預けられる。大きさは手荷物の3辺(縦・横・高さ)の和が158cm(62インチ)を超えてはいけないうえ、2個の3辺の和の合計が273cm(107インチ)を超えてはいけない。

荷物の重量が規定を超えた場合、1個につき1チャージ支払わなければならないが、重量が23kg(50ポンド)を超え32kg(70ポンド)までの場合、1個につき5,000円もしくはUS$50を支払えばよい。

日本発の1チャージは2009年1月1日現在、グアムが8,300円、サンフランシスコとロサンゼルスが1万9,800円、ニューヨークとシカゴが2万2,000円となっている。

またヨーロッパ・アジア発着便では、重量の合計が20kg(44ポンド)を超えてはいけない。荷物の重量が超えた場合、超過した重量1kg(2.2ポンド)当たり、超過手荷物切符の発行日に有効な最も高額のエコノミークラス普通大人直行通し片道運賃の1.5%を支払わなければならない。