アイディア出しの際や、自分の考えを整理する際にマインドマッピングを利用することが多々ある。本来は手作業で行うものであるようだが、今はコンピュータ上で作成したほうがラクだし、編集や再利用がしやすい。ただ、マインドマッピングを行うためのソフトウェアは数あれど、使い勝手の良いソフトウェアというのは実はあまり多くない。

マインドマッピングに求める機能としては何があるだろうか。筆者の場合、操作がキーボード主体でスムーズであること、画像やアイコンなどを貼り付けられること、マインドマッピングのツリーとは別にノードを作成できる機能は絶対に欲しい。今回はそのようなニーズを満たしつつ、さらに便利な機能を多数そろえた『Mindomo』というマインドマッピングサービスを紹介したい。

「Mindomo」のWebサイト。多機能で便利なマインドマッピングサービスを提供している

「Mindomo」とは?

MindomoはFlashで作られたマインドマッピングサービスだ。無料/ 月額6ドル/ 月額7ドルのプランが提供されている。無料でも7つまで非公開のマップが作成できる。有料プランの場合、ストレージ、暗号化、スペルチェッカーといった機能がついてくる。多機能かつスムーズな操作性が提供される便利なサービスだ。

Webベース、Flash製のマインドマッピングサービス。MS Officeライクなリボンインタフェースを採用している

料金プラン。プレミアムは6ドルだが、3名以上から月7ドル

オンラインでもオフラインでも

Mindomoの便利な点としてまず紹介したいのが、Adobe AIR製のクライアントアプリケーションを配布していることだ。この「Mindomo Desktop」を使うと、オフライン時もマインドマッピングを作ることができる。ネットにつながっていればMindomo上にあるファイルを開いて編集することも可能だ。エクスポート機能では、PDFや画像、HTMLなどで出力でき(PDFは日本語に非対応のようだ)、インポート機能では、マインドマップツール「FreeMind」のファイルも読み込み可能だ。デスクトップにある既存ファイルを読み込み、編集を終えたらMindomoのサービスにアップロードするという手順がとても簡単にできるようになる。

デスクトップ版。基本的な機能はWeb版と変わらない

オンラインのファイルを編集できる。ローカルに保存してオフラインで編集を続けることもできる

整理が進むサポート機能

キーボード操作が可能だ。トピックは[TAB]キーまたは[ENTER]キーでどんどん作成できる。基本のトピックツリーとは別に、独立したフローティングトピックを置くことも可能だ。通常はトピックのみだが、ノートを使ってさらに細かな説明を加えられる。ノートはアイコンのみの表示だが、マウスポインタを合わせると内容がフローティングウィンドウに表示される。

このほか、ノードには画像や動画、アイコンを貼り付けられる。YouTubeの動画を検索して貼り付ける、カテゴリ分類されたクリップアートを使ってツリーを華やかにするといったことも可能だ。マインドマッピングでは、こうした色遣いが重要な要素になると思うので、単なるアイコンの貼り付けに比べると、より整理が進むだろう。ノードの文字や色、線の色も変更できる。

YouTube動画の検索結果。日本語も利用できる

また、通常の線とは別にノード同士を関連性で結ぶ線が引ける。ベジェ曲線のように角度を自由に変更したり、線種や色を変えたりもできる。ソフトウェアによってはこの線が自動的に引かれるのみで、ノードの文字とかぶってしまうことがあるので、この機能は嬉しい。

クリップアートの数はとても多い。シンボルとは別で使える

リンクを使ってわかりやすい整理を

ノード同士に関連性を持たせる機能は前述のとおりだが、さらにリンクを設定できる。他のマップや特定ノードにリンク、外部リンクといった具合だ。競合サイトをリストアップをした場合、マップが巨大になりすぎて分割した場合など、関連性の線ではうまく表現できないケースでリンクが使えるだろう。

Mindomo Desktopにはブラウザ機能が搭載されている。これはMindomo Desktop内で動作するWebブラウザで、任意のサイトを表示してリンクや画像をドラッグ&ドロップでノードに貼り付け可能。インタラクティブなツリーが簡単に作成することができる。

デスクトップ版のWebブラウザ。画像の配置やリンクの貼り付けが簡単に

外部サービスとの連携も魅力

先にYouTubeの動画利用を説明したが、FlickrやWikipediaの画像検索も利用できる。また、完成したマップは、埋め込み用タグを取得することでブログやWebサイトに埋め込める。こうした外部サービスとの連携できる点は、オンラインサービスならではと言えるだろう。

外部サイトに埋め込むためのEmbedコードを取得する画面。細かく設定が可能

ちょっと珍しい機能を搭載

このほか他の同種ツールではあまり見られない機能を備える。ノードをタスクにして終了日を設ける、メインノードが中心の形式から上下左右いずれかに固定して描くマップを作る、スキンのように定義されているスタイル機能などがそうだ。Webサービスとしては一般的と言える、ユーザー間の共有機能(同時編集はできないようだ)やチャットといった機能も利用できる

ツールバー部分ではスタイルの変更、画面左でタスクを設定できる

まとめ

色やアイコン、画像を多用したマップは気分的に楽しいし、ただ羅列したものと比べて、誰が見ても分かりやすい仕上がりになる。マインドマッピングは、自分のアタマや外部にある情報を整理することで新しいアイディアや未知の関連性を見いだす図解表現手法だ。そのため、アタマを刺激できるような要素がないとあまり意味がない。その意味でMindomoのようなマルチメディア連携が容易なマインドマッピングは有効なのではないだろうか。

無料版と有料版の違いはさほど大きくはない。無料版ではファイルのアップロードやエクスポートでいくつかの形式を利用できない、パスワード保護機能がない、広告が表示されるといった違いだ。個人的な用途なら無料版でも十分と言えそうだが、企業での活用を考えるなら有料版のほうがよさそうだ。ともあれまずはMindomoを体験し、そのユニークさを知ってほしい。

著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)

1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。