【レポート】

「デル スモールビジネス賞」を受賞した、大阪の中小企業の取り組みとは?

デルは、IT技術の優れた活用でビジネスを成功させている革新的なスモールビジネス(中小規模企業)を賞賛することを目的とする「デル スモールビジネス賞」の国内部門優勝企業を発表し、表彰した。

国内部門優勝企業に選ばれたのは、大阪府大阪市城東区にある三元ラセン管工業。同社には、2万5千ドル(日本円で約250万円)相当分の製品およびサービスが贈呈される。

同社は今後、グローバル部門の選考へと進み、グローバル部門で優勝すると、5万USドル(日本円で約500万円)相当分の製品およびサービスが贈呈される。

表彰式の様子。左は三元ラセン管工業 代表取締役 高嶋博氏、右はデル 執行役員 北アジア地域スモール&ミディアムビジネスセールス本部統括本部長 ケビン・オケイン氏

「デル スモールビジネス賞」は、2004年に米国で開始。2年前からは日本、カナダ、メキシコ、中国、英国、フランス、ドイツ、ブラジルなど13カ国でも行われている。 今回の国内選考では、応募社数50社の中から7社に絞りこまれ、最終的に三元ラセン管工業が選ばれた。

国際ベンチャー企業協議会 アドバイザー、立教大学大学院ビジネス研究科教授 アジア太平洋マーケティング研究所 所長 笠原英一氏

同社を選考した理由について、選考委員である立教大学大学院 ビジネス研究科教授 笠原英一氏は「三元ラセン管工業さんは、大企業からの受注に頼る大量生産モデルから、直販による受注生産モデルに転換したということで、他の企業の参考になる。また、製品の品質向上や製造スタッフの多能工化などで、社員の意識改革を図り、従業員の文化も変えている」と述べた。

HP開設から1週間で受注

同社はもともと水道、ガス配管などに利用されている、柔軟で自由自在に曲げることが出来るフレキシブルチューブを生産していた。現代表取締役の高嶋博氏が先代の急死により事業を引き継いだのは、阪神淡路大震災の直後だったという。

しかし、その後、価格競争や先代の取引先が離れるなどして業績は低迷。何か新しい製品を開発しなければと思っていたところ、知り合いの社長から事業を廃業する話を聞き、気体、流体の「気密封止」「漏洩防止」のシール用部材として使われるベローズ事業を従業員・製造機器ともに引き継いだ。

三元ラセン管工業 代表取締役 高嶋博氏

この際高嶋社長は、メーカーの下請け的な受注生産に限界を感じ、直販へのシフトを決意。しかし、自社に営業部隊もなく、どうしていいのかわからなかったそうだが、セミナーで聞いた「これからはネット販売だ」という言葉を信じ、それまで会社案内だけだったホームページを大きく作り変えたという。すると、開設1週間で仕事を受注。現在では、5つのブログでの情報発信も行い、受注に結びつけている。

三元ラセン管工業は従業員30名弱の企業。ホームページを開設しただけで受注が来るのかという質問に高嶋社長は、「展示会等に積極的に参加し、実際の製品や試験を見てもらったことや、大学や企業の研究所から単品の受注があり、それが会社の信頼性向上に結びついている」と語った。

同社では、1mm単位での単品受注も行っており、こうした注文に応えられる企業がないことから、大学や企業が同社を捜してやってくるという。

ISO9001を独学で取得

また、同社ではISO9001も取得。通常こういったものは、コンサルティング会社に頼りながら取得するが、同社では独学で取得したという。

この点は、同社の品質に対する信頼性に結びついているのと同時に、これから取得を目指す企業から参考に話を聞かせてほしいと依頼されるケースもあり、これが営業の接点となり、受注に結びついているという。

デル 執行役員 北アジア地域スモール&ミディアムビジネスセールス本部統括本部長 ケビン・オケイン氏

表彰式で、デル 執行役員 北アジア地域スモール&ミディアムビジネスセールス本部統括本部長 ケビン・オケイン氏は「デルにとってSMB市場は非常に重要だ。日本には470万のSMB企業があり、3000万人が雇用されている。グローバルビジネスの背景にいるのは、こうしたSMB企業だ」と述べた。

三元ラセン管工業では、問い合わせ増加に伴い、お客様対応に時間がかかるようになってしまったことから書類管理ソフトを導入し、「図面探し」に効果を上げたほか、過去の問い合わせ状況、受注状況、制作状況、検査結果などを、PC画面にて確認できるよう改善も行っている。

高嶋社長は「とにかく納期を短くすることを心がけている」と語った。

高島社長のブログ「ベローズ・ラボ ☆ベローズ案内人☆」は、今では12万以上あるサイトの中で常に上位にランキングされているという。同氏はその秘訣を「何でもいいから書いて、続けることが大事」と述べた。

なお同社は、経済産業省の平成16年度IT経営百選認定企業の選ばれ「奨励賞」を受賞している。



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