今や携帯電話の世界でも差別化のためアイディアが必要とされる時代だ。P&T/Wireless & Networks Comm China 2009の会場には、中国メーカーらしい面白い製品が多数展示されていた。この中のいくつかは、日本でも製品化できかもしれないので紹介する。
据え置き型の携帯電話が当たり前になる?
中国の通信事業者は3社に再編されたが、全国規模の固定電話サービスを持たない中国移動は、TD-SCDMA回線を利用した「据え置きタイプの携帯電話」を固定電話代替として販売している。
会場には据え置きタイプの携帯電話として利用できる端末が複数社から展示されていた。中でもTCLのコードレス電話タイプはスタイルもよく、このまま携帯電話として発売してもよさそうなデザインである。またZTEの固定タイプ端末は、SOS発信ボタンを搭載するなど多機能化が進んでいる。今後中国移動が本サービスを本格的に展開していけば、やがては数十種類以上の「据え置き型携帯電話」が登場することになるだろう。「家の電話には電話線が無い」なんてことが中国では当たり前になっていくのかもしれない。
モデムだってバリエーションが欲しい
ZTEブースにはさまざまなタイプの3G対応USBモデムが展示されていた。なかでも派手な図柄が目立つ複数のモデムが目を引いた。これはフィリピン向けの製品で、現地プロスポーツチームのキャラクターが入ったものだ。ひいきのチームのモデムをネットブックにつなぎ、インターネットでゲーム観戦といった用途なのだろうか。
日本でもプロ野球やJリーグのチームモデムなんてものを出してはいかがだろうか? また一歩進んでプロスポーツ機構がデータ回線のMVNOに乗り出す、なんてアイディアも面白いかもしれない。
海外ではモデムのカラーバリエーションを充実させるメーカーが増えている。台湾では30数色のモデムが発売されているし、香港では20数種類の図柄のものをラインナップするなど、見た目にこだわったものも多数登場している。日本であればキャラクターの図柄入りのモデムが出てきてもいいのではないだろうか。
USBモデムも機能の差別化が難しくなり、また汎用製品となっていくことから今後はデザインなどで差別化を図った製品が増えていくだろう。
キッズケータイやかんたんケータイ、そして点字対応まで
子供やお年寄りなどに使いやすいタイプの製品も多数展示されていた。子供向けの携帯電話に緊急発信ボタンを搭載するのはあたりまえで、子供の手でも使いやすいサイズに設計したものや、短縮ボタンに簡単登録できる機能を搭載した端末も用意されている。
年配者向け携帯は、サイズの大きいボタンやスライド式スイッチを採用するなど、操作面に工夫がなされているようだ。「確実に簡単に通話をしたい」という熟年層の利用者には最適な製品と言えるだろう。
これらの中でも特徴的だった製品が、視力の弱い人や視力を失った人を対象とした点字携帯だ。製品としては年配者向けの大型数字キーパッドを搭載した端末と同等のものだが、数字部分に点字を入れることにより指先で確実に数字を読み取ることができるようになっている。製品は手作り感のある仕上がりではあるが、実際に点字利用者に操作してもらったところ好評であったという。今後、音声ガイダンスやメッセージの読み上げ機能などが付加されることを期待したいものだ。
さまざまなコンセプトモデルが並ぶ
このほか、各メーカーのアイディアを形にしたコンセプトモデルも多数展示されていた。製品化の見通しは現時点では無いものの、勢いのある中国メーカーであればいくつかを実用化することも夢ではないかもしれない。