ふだん見慣れない景色を目にすると、見識が広がったような気がするものだが……それってただの幻想?

日々仕事に追われる生活の中で、人々は時に旅に出る衝動に駆られるものである。我々は、旅に対して、それがもたらす現実世界からの解放感や、異文化との接触による新たな知識/見聞、世界の広がりを想像し、憧れを抱く。しかし、こうした一般論に対して、ビジネスキャリアコンサルタントのPenelope Trunk氏は「幻想だ」と一蹴する。幼少時に両親とともにヨーロッパやカリブ海全域など数多くの国を渡り歩いた経験のある彼女が、自身のブログで著した「旅が時間のムダとされる4つの理由(原題: 4 Reasons traveling is a waste of time)」というタイトルのトピックを紹介する。

1. 新たな挑戦よりももっと効果的な方法があるから

人生において見識や経験を広げるというのは重要なことだとは言うものの、たった1週間かそこらの旅行でそうした深い洞察力というモノが身につくわけがない。よって、世界の見方を変えたいというのであれば、毎週何か別のことを継続的に行うほうがより人生にインパクトを与える効果が高い。

2. 文化の相違は表面的に過ぎず、重要なのは経済的な相違

文化の違いというのは人種の違いにあらず。裕福な白人と黒人の差よりも、同じ白人でも裕福な人と貧しい人の違いのほうが大きいものであり、つまりダイバーシティというのは結局は経済格差にあるのだ。

3. 自分自身の生活を愛している人はそこを離れない

自分自身の日々の生活や環境に満足している人というのは、それを置いてわざわざ旅に出るということはない。ゆえに旅に出るよりも家にいるほうが楽しいと思えるようなものを見つけ、それを現実の日々の生活において実践したほうがいい。

4. 旅というものは熟考するための時間ではない

物事を深く思案するために、あるいは数週間逃避のために旅に出ると考えることがそもそも間違い。旅への欲求とは実は、何かを考えるための"余裕"を求めているのであり、それならばむしろ、日々の生活において熟考するための時間を設けることを考えるべき。一時しのぎにすぎない旅による逃避よりも、毎日の生活時間を再構成し、考えるための時間を作り出したほうがいい。