お年寄りや子供も楽しませたい
――今回も宮藤作品の特徴ともいえる小ネタやギャグが満載でしたね。
宮藤「ギャグは自分のために書いてる部分もあるんです。ここにギャグをいれないと先に進めないとか、なかば意地で入れてたりとか。ストーリーに関しては、緻密に計算しながら書いてはいないんです。行き当たりばったりで。ただ『木更津キャッツアイ』を好きな人に向けて、同じのやってもしょうがないですし。僕の名前だけ知っていて、作品を観てない人も多いだろうから、そういう人々と新しい作品で良い出会いをしたいっていうのは意識しています。そのために、あえて自分のスタイルにこだわらず仕事しています。宮崎あおいちゃん目当てで映画を観て、僕の作品に初めて触れる人もいると思うんで。『池袋ウェストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』でファンになった人に対しては、全 然違う作品でも観てくれる、みたいな甘えがあるのかも(笑)」
――宮藤さんは、『我輩は主婦である』のような昼ドラの脚本を書かれたり、『流星の絆』のような重いシリアスな作品も書かれています。新しいトライも多いのですが、これから新たにやりたい事はあるのでしょうか?
宮藤「NHKで公開バラエティをやる予定があります。NHKホールを1日だけ借りて、『あべ一座』という企画なんですけど、全国のあべさんを集めて(笑)」
――やっぱり阿部サダヲさんも出演するんですか?
宮藤「はい。この番組は自分の中でも実験に近いんですけど、お年寄りを笑わせるにはどうしようとか、子供は何が好きなんだろうとか、色々考えてますね」
――宮藤さんはかなり多忙ですが、宮藤さん自身バンド活動に関して、少年メリケンサックのメンバーのようなしんどさを感じたりはしないですか? グループ魂でコントをやっていた初期とは、まったく状況が変わりましたし。
宮藤「肉体的にしんどいですよね。グループ魂も3人の頃から頭の中ではバンドだったんですよ。昔、吉本の公園通り劇場っていうのがあって、そこに雨上がり決死隊さんやガレッジセールさんなんかに混じって出てたんです。当時の芸人さんは、皆さん私服でフラっと出てきて日常的なネタをやるというのが主流で。そんな場所に、自分たちが小劇場から出て行く時に、どう目立つか考えました。パンクの服装でギターを持って、スリッパで頭を叩きがらフレーズを連呼するという。それがエスカレートして本当にバンドになっていったんです。最近はロックフェスなんかでも、アーティストがみんな自然体のなかで、僕らは無理して革ジャン着てやってる。これがパンクかなと思うんですけど」
――最後に、これからの宮藤さんの予定を聞かせてください。
宮藤「今年後半は大人計画の舞台を中心にやっていきます。あっちこっちやるのも、一段落して、おもいっきり舞台をやって、来年は飽きて舞台を嫌いになる予定です(笑)。飽きないように色々同時にやってきたけど、今年は舞台で!」
――今日はどうもありがとうございました。
少年メリケンサック
撮影:石井健