日立製作所は7月22日、東京都千代田区の東京国際フォーラムにて、講演、展示、セミナーを通じて日立グループの取り組みを紹介するイベント「日立 uVALUEコンベンション2009」を2日間にわたり開催している。本稿では、同イベントにおいて基調講演を引き継ぐかたちで行われた「皆既日食中継」の模様をお伝えしよう。

Woooliveで国内6ケ所を中継

皆既日食中継は、日立が提供するビジュアルコミュニケーション技術「Wooolive」を使い、札幌、東京、大阪、福岡、硫黄島、奄美大島の国内6ケ所を同時中継するかたちで行われた。

順調に進めば、奄美大島から札幌までの日食が約15分間にわたり中継される予定だったが、残念ながら、22日の国内は全体的に雨模様。分厚い雲が視界を遮り、ほとんどの地域では太陽の姿を捉えることさえできなかった。

中継の模様。福岡、大阪、札幌では、レポーターを派遣して実況

福岡は曇りながらも、日食の様子は確認できた

札幌、東京は雨天で太陽の姿を確認できず

大阪、通天閣では、ビリケン像も日食観測用メガネを着用。しかし、雨天で観測できず

そんな中、唯一硫黄島だけは晴天に恵まれる。日食中継も予定を変更し、同地域一点に的を絞って進められた。

実は、この硫黄島、今回の日食観測における"本命"地として見込まれていたそうだ。というのも、硫黄島はこの時期の天候が安定しており、晴天になる確率が高い。加えて、5分を超える観測が可能なほか、他の観測地点と離れているため"観測の空白"を埋めることができるという特長もある。また、普段は航空自衛隊の基地として利用されており、立ち入りが出来ないため、「そういう意味でも、硫黄島からの中継映像は貴重」と説明された。

硫黄島の位置と特長。硫黄島のこの時期は天候が安定。普段は航空自衛隊の基地として利用されているため、足を踏み入れることはできない