設計の種類

「設計」とは、「企画・要件定義」で決めた「どんなシステムにするか」にもとづき「そのシステムをどう作るか」を考え、説明する作業です。

しかし、「設計」とひとくくりにできるほど、その範囲は狭くありません。「基本設計」や「詳細設計」のように工程名になっているもの、「画面設計」、「帳票設計」、「データベース設計」のように対象物が決まったものなど、数多くの「○○設計」が存在します。加えて、これらの「○○設計」の定義が、会社や組織によって異なっていたり、名称が専門書によって異なっていたりすることがあります。

筆者も最初はけっこう混乱しました。でも、経験を積むにつれて、対象や名称が何であろうとも、設計の基本的な流れや考え方が同じであることがわかってきました。今回は企業システムのアプリケーション設計を例にして、その設計の流れやポイントを説明します。

外から見た振る舞いを設計する

企業システムのアプリケーションの多くは、利用者が画面から何らかの操作をして、業務に関わる情報の登録・検索・閲覧をしたり、帳票を印刷したりするものです。この「情報の登録・検索・閲覧をする」、「帳票を印刷する」というのが外から見た振る舞いであり、重要な設計対象です。この外から見た振る舞いを考える工程を「外部設計」と呼びます(「基本設計」、「概要設計」と呼ぶ場合もありますが、内容はほぼ同じです)。

外部設計では、利用者が直接操作するもの、目にするものを設計しますので、画面設計や帳票設計が含まれます。また、データベースに格納する情報を利用者がわかる言葉で説明する設計も外部設計で行います。これはデータベースの論理設計と呼びます。データベースに格納する情報は、利用者が入力し画面や帳票に出力されるものなので、外から見た振る舞いの大切な構成要素です。

できあがった外部設計の結果は、後工程を担当するエンジニアだけでなく、利用者にも説明する必要があります。利用者には、要件定義の段階で描いていたイメージと、外から見た振る舞いの設計結果にズレがないことを確認してもらわなければなりません。

ここで注意が必要なことが1つあります。それは、利用者にはITの専門知識がほとんどない、ということです。利用者は専門用語連発の説明では理解できませんので、外部設計の表現には、ITの専門知識がない人でも理解できるような工夫が求められます。

その工夫の例を1つご紹介しましょう。最近の開発では「画面モックアップ」といって、画面の紙芝居を用意して説明するという手法が一般的になっています。具体的な完成像のイメージを作ってしまうこの方法なら、IT技術に詳しくない利用者でも十分理解できますね。これは利用者でも理解できるように工夫した結果なのです。

設計の流れ