【レポート】
2009年3月27日、TISの竹芝本社において、第24回XPユーザー会が開催され、毎日コミュニケーションズより2009年1月に発行された書籍「アジャイルな見積りと計画づくり」
(原著:マイク・コーン)をテーマに、翻訳者である永和システムマネジメントの安井力氏と角谷信太郎氏が講演を行った。
講演者の2人は、2009年のデブサミ(翔泳社主催の「Developers Summit」の略称)でも来場者の満足度ランキング上位に入るほどのスピーチ上手。立案したTISの市谷聡啓氏も今回のユーザー会開催のきっかけについて、「デブサミで2人の講演を聞き逃したから」というほどである。当日は2人の講演を聞きに、50人前後の参加者が集まった。
「アジャイルな見積りと計画づくり」(以下、本書)は、ソフトウェア開発における「見積り」と「計画づくり」をアジャイルに行う方法についてまとめられた書籍で、チーム全員でカードゲーム的に見積りを行う「プランニングポーカー」をはじめ、実践的な方法がたくさん詰め込まれている。
このタイトルだけみると、「アジャイル型の開発プロセスを実践しているプロジェクトでしか使えないのでは?」と思う人がいるかもしれない。また、何を見積り、何のための計画をつくるのか? という点を知りたいと思う方もいるだろう。そういった疑問そのものが、本書の核心につながっているので、2人の講演の内容を参考にしていただければと思う。
最初の安井氏による「陽の巻」の講演は、書籍の要点の1つである「なぜ計画づくりをするのか?」に軸を置いて行われた。
安井氏がまず提示したのは「アジャイルマニフェスト」。2001年、ケント・ベックらによって提示されたこの宣言は、アジャイル開発の原点である。アジャイルマニフェストでは、下記それぞれの項目において、左側よりも右側を大事にすることが宣言されている。
・プロセスやツールよりも、人と人との交流を
・包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェアを
・契約上の交渉よりも、顧客との強調を
・計画に従うことよりも、変化に適応することを
簡潔にいうと、厳密な方法論に沿って事前に莫大な仕様書や設計図を決めてから取り組むのではなく、より軽量で、開発を担う人を中心にしており、現実的な変化を許容するというやり方がアジャイルである。
安井氏はマニフェストの最後の1つ「計画に従うことよりも、変化に適応することを」を指して、「計画はいらないって言っているように見えますよね?」と問いかける。
書籍の中の「日本の読者に向けて」においても、原著者が執筆を始めた当初は「アジャイルだから計画しません」という言葉が言い逃れとして使われていたという記述が見られるが、「そういうことを言っているわけではない、ということを今日は話したいと思います」と安井氏は続けた。
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