とうとう来たか――。昨年12月12日、産経新聞社からリリースされたiPhone/ iPod touchアプリ『産経新聞』に軽く昂奮した。産経新聞全ページをそのままiPhoneで読める。しかも、(当面は)無料で。毎朝5時、その日の産経新聞データが配信開始。家を出るとき、紙面データがダウンロードされたiPhoneを持って、行ってきます、だ。もうキオスクで100円を払う必要もないし、新聞片手に地下鉄に乗り込む必要もない。このアプリさえあれば、ネットワークの通じない地下だろうが空の上だろうが、どこでも片手で新聞が読める。その日から筆者は、産経新聞ばかりに目を通すようになった。

iPhoneアプリ「産経新聞」での紙面チェックは快適。自在に拡大縮小し、一覧ページ(ダウンロード済みページは点灯)も用意。アプリ起動時にデータがダウンロードされ、iPhoneにキャッシュしておける点も魅力だ

つり革左手、右手にiPhone。新聞だったらムリな芸当だが、iPhoneなら混雑する車内でも片手で紙面をめくることができる。一面ずつの紙面レイアウト表示、読みたい部分はダブルタップで拡大、スライドさせれば次のページへ。総合、政治、社会、経済、スポーツ……やはり新聞は情報が整理されていて読みやすい。ん? この1面の「ひなちゃんの日常」というマンガ、意外とおもしろいじゃないか、またこのふてぶてしい朝青龍の顔写真がなんとも……なんて感心していて、ふと思う。

これは本当に無料で提供していいものなのだろうか。

そのうち課金するのではないだろうか。というか、新聞そのものを無料で提供しているのだから、それが当たり前の流れとも思える。産経新聞社は、どんなビジネスモデルを構想しているのだろうか。iPhoneアプリ「産経新聞」について、産経デジタル 取締役 近藤哲司氏にお話を伺った。

産経デジタル 取締役 近藤哲司氏。iPhoneアプリ「産経新聞」のことだけでなく、産経新聞社のデジタル事業での取り組みについても多くを語っていただいた