--中国では、すでにサーバ事業での実績がありますね。

原田氏 その点では、日本と中国との環境は異なるといえます。中国では、数年前からサーバ事業に取り組んでいましたから、一定のシェアもあります。日本では、一からのスタートですから、出発地点が異なるといえます。また、今回の新製品は、レノボが中国市場向けに展開してきたものとは異なり、開発段階において、IBMさんとの協業によって製品化したものです。基本的なフレームやアーキテクチャについては、IBMさんからライセンス供与を受けたものを活用しています。これをもとに生産、販売を当社が行い、日本におけるユーザーサポートにおいては、日本IBMさんとサービスプロバイダー契約を結び、そのインフラを活用しています。サポートの観点では、クライアントPCのサポート体制と同じスキームだといえます。

--IBMの支援を得なければ、サーバは開発できなかったのですか?

原田氏 そんなことはありません。しかし、サーバには高い信頼性が求められるので、マーケティングという観点からもIBMさんと協業した上で開発した方が、顧客やパートナーに対して安心感を与えられるという判断があったのではないでしょうか。ただ、将来に渡って、IBMさんとの協業によって製品を投入し続けるというわけではありませんし、当社からIBMさんとの協業によって、サーバを開発したことを声高にいうつもりもありません。

--レノボのサーバ製品の強みはどこにありますか?

原田氏 中小企業に特化したサーバであるという点です。当社が独自に開発した「EasyStartup」、「EasyUpdate」、「EasyManage」の3つのソフトによって、簡単にインストールや管理、保守ができるようになります。EasyStartupを利用して、サーバを開梱後、短時間で簡単に稼働でき、EasyUpdateによって、サーバのファームウェアやハードウェアのドライバを自動更新し、常に最新状態にできます。さらに、EasyManageでは、サーバの統合的な管理を実現するほか、リモートでのサポート対応も可能になります。サーバ管理者がいない、あるいはITに関する専門知識を持った社員がいないという中小企業でも、簡単にサーバを利用できるようになります。これは、ThinkPadなどの企業向けクライアントPCで培ったノウハウを活かして実現した機能だといえます。ThinkPadは、大手企業のユーザーばかりでなく、数多くの中小企業ユーザーにも利用されています。その実績をもとに、全世界の中小企業ユーザーにヒアリングし、サーバの導入の際にどんなことに困っているのか、どんな問題があるのか。それに対して、レノボの技術でどう解決ができるのかを議論してきました。その結果、サーバのセットアップのところで困っているユーザーがかなりいることがわかり、それを解決するために、EasyStartupを用意したのです。こうした実際のユーザーの声を反映して、容易性、管理性の向上を実現しています。

--レノボのサーバ事業という観点では、どんな強みがありますか?

レノボ・ジャパン 製品マーケティングビジネス・デベロップメント・マネージャー サーバー製品担当 長谷川健一氏

原田氏 ひとつは、サービス&サポート体制ではないでしょうか。24時間365日の電話サポートを行う「ThinkPlus Priority Support」などをパッケージの形として提供し、さらに、ThinkPlus Priority Supportを、最初の90日間に渡って無償で提供します。これによって、導入時に中小企業が抱えるストレスを少なくしたいと思っています。そして、競合と比較して、プライスパフォーマンスが高いことも強みです。レノボは、競合他社に比べてスリムな組織であり、生産性が高く、収益構造が優れている。これを価格という形で、顧客に転嫁できるというメリットがあります。

長谷川氏 PCの大量生産のメリットを活かし、部材の調達コストの削減効果なども、他社とのプライスパフォーマンスの差に影響しています。競合他社に比べて、価格面では負けないという自負はあります。