TOTO総合研究所では、TOTOにおけるSOFC(固体酸化物型燃料電池)開発の概要と、これに係るセルスタックやモジュールの開発状況について発表した。

TOTO、ノーリツとの共同開発で小型な家庭用SOFCの商品化へ

TOTO総合研究所 燃料電池開発部 部長 上野晃氏

同社は住宅設備メーカーとして家庭用燃料電池も重要な分野であるとして、独自のセラミック技術を活用してSOFCの開発を進めている。なぜSOFCかについてTOTO総合研究所 燃料電池開発部 部長 上野晃氏は「ガスエンジンやPEFCと総合効率は同程度だが、大きな発電効率が得られ、日本の電力需要に適したシステムのため」と説明。TOTOはセルスタックとモジュールの供給のみを行い、共同開発を行っているノーリツの燃焼制御やシステム開発技術と連携し、貯湯ユニットを含めた燃料電池システムの商品化を目指しているという。目標性能は、発電効率46%以上の高い発電効率と設置性を考慮した小型の家庭用SOFCだ。

具体的にTOTOが開発に取り組んでいるのは円筒縦縞型のデザインを用いたセルスタック。円筒型の家庭用セルの特徴は、700℃の熱衝撃についてOCV及び通電時についても劣化がないという。モジュール開発では、DC770Wにおいて発電効率45%、DC300Wにおいて発電効率56%を達成し、1,500時間の連続運転(起動停止含む)を実証した。セルスタックのセル発熱で発電出力が行われ、それ以外の蒸発部や燃焼部、改質器で必要な熱量をまかなうという、各部の反応熱から熱自立可能なレイアウトを検討してモジュールを設計している。

同社の社員宅でのフィールドテストでは、問題なく各ユニットの設置とバックアップ給湯器の試運転が完了し、比較的狭い設置場所にも対応できることを確認したという。ただし、現段階では寸法200L、重量100kgであり設計目標は未達とのこと。上野氏は最後に、今後はセル性能の向上やモジュールの改良を実施し、ユニットパッケージングの詳細設計を推進していくとし、「2009年度はNEF(新エネルギー財団)での実証研究を進めていく」とスケジュールを説明した。