現代の映像で面白い物語を見せる
特撮マン出身の映画監督として『ローレライ』(2005年)、『日本沈没』(2006年)など、邦画の枠を越えたスケールの大きなエンタテイメント作品を監督してきた樋口真嗣。アニメーターから特撮マンとなった樋口監督は「誰も観たこともないような壮大なビジョアル」を一連の実写作品で提示し続けている。そんな樋口監督の最新監督作品『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』がDVD化された。この作品で巨匠・黒澤明監督のリメイクに挑んだ樋口監督に話を訊いた。
――どういう経緯で黒澤監督の名作をリメイクすることになったのでしょうか?
樋口真嗣(以下、樋口)「正直に言うと、依頼があったからですね。ただ、リメイクするといっても、同じことをやるつもりはなかった。キャラ設定なども変えていますし、あくまでも、『隠し砦の三悪人』をベースに自分なりのエンタテイメント作品、冒険活劇を作りたいという想いで監督しました」
――『ローレライ』の企画協力に続いて、脚本は中島かずき(劇団☆新感線 双葉社の編集者)さんが担当されていますが、何か脚本に関して樋口監督から注文は出したのですか?
樋口「同じスタートラインだけど、その状況に対する登場人物、特に農民の対応を現代的に変えて違う結末を作りたいという事と、姫に男装させたい(笑)というオーダーを出しました」
――黒澤作品をリメイクする事へのプレッシャーは特になかった感じですか?
樋口「『日本沈没』の時もそうだったんですけど、元となった作品はとにかく文句のつけようがないくらいに素晴らしい作品です。だから、『オリジナルに近づけよう』みたいな姿勢で取り組む事は意味はないと思っていました。この時代だからできる映像を使って面白い物語を見せるということにこだわりました」 次のページでは樋口監督が映画のVFXを語りつくす