地球温暖化の原因

地球温暖化の原因については、「IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)」という国連の下部組織が、「二酸化炭素などの温室効果ガスが主な原因である」と科学的にほぼ断定しており、IPCCは1,000ページに及ぶ英文の報告書「気候変動の科学的基礎」を出している。温室効果ガスが原因だということについては、170ヶ国が認め、世界の学会で否定している所はないと、山本教授は力説する。

「地球温暖化の真実」 - IPCC第4次報告書から

山本教授はこれについて、以下のようにさらに詳しく説明した。結論としては、過去50年間の急激な温度上昇は温室効果ガスが原因である。これに異論を唱える人がいるが、例えば対流圏は温暖化しているが、成層圏は寒冷化している。太陽黒点や宇宙線が原因であれば一様に温暖化するはずだから、これでは説明できない。しかも、実際には太陽黒点は減っている。宇宙線の量が減るから温度が上がっていると主張する人がいるが、実際には宇宙線(ベリリウム40で表す)は若干増大している。

二酸化炭素の抑制が急務

2004年時点では490億トンの温室効果ガス(二酸化炭素換算)が出ている。京都議定書の削減目標は全世界で9億4800万トンだから、これではほとんど効果がない。しかも、京都議定書にまじめに取り組んでいるのは日本と欧州だけ。人類は実質的に何の対策もとっていないに等しいのだ。

このままいくと、21世紀の末までに1.1度~6.4度、温度が上がってしまう。1度上がるだけで4億人~17億人が水不足、3,000万人が食料不足に陥る懸念がある。

もうひとつの俗説は、前の氷河期から1万2000年くらい経っており、次の氷河期が近いので、地球は暖めておいた方がいいのではないかという主張だ。IPCCの報告書によると、次の氷河期は3万年後。現在、太陽を回る地球の軌道が非常に安定しているので、氷河期にならないのだ。

大気中の温室効果ガスは、年間1.9ppmずつ増えている。1ppm増えるのは80億トン増えるということなので、1.9ppm増えるというのは152億トン増えるということ。産業革命以降、人類が余分に空中に溜め込んだ二酸化炭素は8,000億トン。これで温暖化が加速してきたのだ。

しかも二酸化炭素は寿命が長い。いったん放出されると、百年後に1/3、千年後でも1/5が残留する。我々は千年後の世界に責任を負わねばならない。