ウィジェットにもリッチコンテンツメディアの流れ

従来は単なるデジタルノベルティとして利用されてきたウィジェット、ガジェット、ブログパーツなどが、企業の情報配信ツールとして注目されている。「ウィジェット」を軸にした企業向けのサービスプラットフォームを展開するアップフロンティアが、12日に行った「ウィジェット・マーケティングセミナー」から、その背景と現状を取り上げる。

「ウィジェット・マーケティングセミナー」には、企業のウェブ担当者や営業企画担当者、広報担当、広告業関係者など50名ほどが聴講に集まった

そもそも、「ウィジェット」という言葉をよく聞くようになってまだ日が浅く、はっきりとした定義について"?"と思う人も多いだろう。「ウィジェット」とは、もともとはデスクトップ上で常駐させるミニアプリケーションのことで、時計やカレンダー、辞書、電卓など従来ガジェットと呼ばれていたものだ。現在はデスクトップ上やブログ(WEB)上で実行される単機能プログラムやツールの総称となっている。

アップフロンティア代表取締役社長 花本浩氏。同社の手がけたブログパーツやウィジェットを使った活用セミナーを不定期に開催している

「ここでウィジェットと呼ばれているものは、気象情報、RSSリーダーなどネットワークとの連携に秀でていること、XMLやJavaScriptなどのオープン技術を使ってユーザが自由に作成、配布できることが特徴となっている」とアップフロンティア代表取締役社長 花本浩氏は説明する。その現状を数字で表すと「全世界での総数は1万2,000を超え、1億7,800万人へのリーチに達している」という。国内では、マイクロソフトが、JALやサンリオなど15社/17種のWindows Vista用サイドバーガジェットやMSNオフィシャルによるWindows Live ウェブガジェットを登場させている。また、GoogleがAdWordsを利用した「ガジェット広告」を展開するなど業界的にも積極的な動きを見せている。

ウィジェットが広がる大きな要因のひとつとなっているのが、エンジンだ。ヤフー、Microsoft、Googleが、それぞれWindows XP/Vista用のエンジンを提供し、AppleがMac OS X用のものを提供している(なお、ヤフーはMac OSにも対応しており、一方、MicrosoftはVistaに限定しXPには対応していない)。「企業からプロモーション企画の相談を受けて、ウィジェットを制作する場合には、ターゲットや用途によって、エンジンの使い分けや組み合わせで構築していたが、さらにAdobe AIRがリッチなアプリケーション開発の可能性を広げてくれた」という。このAdobe AIRでは、ユーザ側が、インストールするという感覚なしにWEB上からウィジェットをインストールできる「シームレスインストール」の採用が他のエンジンにはない特徴となっている。

さて、企業がウィジェットに求めるのは、PUSH型、口コミ型のマーケティングツールとしての効果なのだが、実際にはどのように利用されているのだろうか。