スズキは8月5日、東京・お台場で新型250ccスクーター「ジェンマ」のプレス向け試乗会を開催した。ジェンマは、2人乗りを前提として開発されたということもあり、パッセンジャー用のモデルも用意され、ユニークなものだった。タンデム走行も含め、ジェンマを実際に試乗した感想をお届けしよう。

ジェンマ試乗会にあたり、はじめに技術説明会が行われた。ジェンマの発表会レポートでも説明したが、ジェンマは都市型ビークルとして、「2人で乗る一体感」、「ライダーとパッセンジャーの乗り降りのしやすさ」、「タンデム走行の安定性」を重視して開発された。私はプレス向け試乗会は初めて参加したのだが、スズキ広報によれば、都市型モービルということで、初めて東京で試乗会を開催したとのこと。

はじめにユーティリティ性のチェックをしてみた。ジェンマは低重心シートのため、シート下には収納スペースがない。そのかわり跨ったままでもヘルメットが収納できるスペースがフロント部に設けてある。フロント収納部はフルフェイスひとつ分と書いてあったのだが、私のデュアルパーパースモデルのヘルメット「ツアークロス2」は収納することができなかった。また、パッセンジャー用のヘルメットホルダーはグラブバーに付いているのだが、ネットやロープを掛けるフックは備えていない。買い物など街での使用を想定すると、収納スペースが少ないのでフックくらいは備えて欲しかったと思う。しかし、低重心ボディのおかげで足つき性は抜群だった。デザインを重視するか、使い勝手を重視するか、製品を作るにはなにかを割り切らないといけないのかもしれない。

津島 ジェンマ チーフデザイナーによれば、「このバイクは女性にも乗ってもらいたいんですよ。バイクに乗っている女性はカッコイイと思うんです。ジェンマはデザインにこだわってるし、低重心だから女性にも安心して乗ってもらえるはずです」という。ジェンマはデザインからか、実際のより大きく見える。しかも今回の試乗車はゴールドという個性的なカラーを採用していてとにかく目立つ。派手な電飾を付けたり、うるさいマフラーは論外だが、バイクが他の車から意識してもらうことは大切だと思う。また、ジェンマは、カスタムできないように一体型のメーターや、独特のボディを採用している。たしかに、このバイクにアフターパーツを取り入れると、ちぐはぐで格好悪いものになってしまいそうだ。そのため純正パーツも、ETCとイモビライザー、ナックルガード程度しか用意されないようだ。このあたりにも、デザインを重視したジェンマへのこだわりが感じられた。

スズキ ジェンマ。左右非対称のヘッドランプが個性的

跨ってみて、後ろから撮影。両足がつま先立ちだが、不安感はない。

横から撮影。足の指付け根まで付いているので、充分車体が支えられる。これは私にとっては、足つき性は良いほうだ

フロント部の収納スペース。フルフェイスがひとつ収納できるスペースを確保

小物収納スペース。鍵をかけることはできないので、貴重品以外を入れたい

独特な形状のマフラーカバー

一体型のメーター部。紫の文字と赤い針が、暗いところで光り妖艶な雰囲気を作り上げるという

右側のシート下に給油口がある

ジェンマのカラーバリエーション。左から7月に発売されるゴールドメタリック、パールホワイト、8月発売のブラック、9月発売のブラウンシルバー、ホワイトと並ぶ