企業を中心にメンタルヘルス対策サービスを提供しているライフバランスマネジメント(以下、LBM)はこのほど「従業員のメンタルヘルス対策に関する意識調査」の結果を発表した。

"メンタルヘルス"とは精神面の健康状態のことである。最近では、職場内の複雑な人間関係や長時間労働などによるストレスから、メンタルヘルスに不調をきたす労働者が増加し、問題となっている。このような背景から、旧・労働省(現・厚生労働省)が2000年に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定するなど、国としても労働者のメンタルヘルス対策に取り組んでいる。

LBMによる今回の調査は、昨年(2007年)8月1日から9月30日の間、同社が提供するメンタルヘルス対策プログラムのオンラインサービス「MTOP」を利用している企業や団体の従業員を対象に行った。この調査では、4014名から有効回答を得た。

調査の結果、「あなたの会社では組織としてのメンタルヘルス対策が必要か」という問いに対して、56%が「必要である」、32%が「どちらかといえば必要である」と回答し、9割弱の従業員が組織としてのメンタルヘルス対策の必要性を認識していることが明らかになった。

メンタルヘルス対策の現状

これに対して、所属する組織が取り組んでいるメンタルヘルス対策として、半数が「社内相談窓口の設置」を挙げ、もっとも多かった。次いで「従業員ストレスチェックの実施」、「メンタルヘルスにも対応する産業医の配置」、「情報提供(冊子の配布、メール、掲示板、社内報)」という回答が続いた。

また、会社のメンタルヘルス対策の現状への満足度では、「大変満足している」(1%)、「満足している」(21%)と前向きな評価の割り合いは合わせて2割程度。同様に「大変不満である」(6%)、「不満である」(16%)という回答も2割程度を占めた。そして、もっとも多かった回答は「どちらともいえない」で、48%にのぼった。

一般職にもメンタルヘルス対策を

会社で今後取り組んでほしいメンタルヘルス対策としては、4割以上が「一般職向けメンタルヘルス研修の実施」と回答。以下「管理職向けメンタルヘルス研修の実施」、「従業員ストレスチェックの実施」、「外部相談窓口の設置」、「メンタルヘルスにも対応する産業医の配置」が続いた。そのほか「マッサージ機などを置いたリフレッシュルームの設置」、「リラクセーション研修」、「課内・部内旅行」、「休暇を増やす等のリフレッシュ対策」、「残業時間の削減」、「職場コミュニケーションの活発化」、「非正社員向けメンタルヘルス研修の実施」などが挙げられた。

このうち、一般従業員向けメンタルヘルス研修として実施されている「リラクセーション研修」について、67%が「会社でリラクセーション研修が実施されたら参加したい」と回答。さらに、参加したいリラクセーション研修の具体的な内容では、約7割が「アロマセラピー」(植物の香りを使って、リラクゼーションや集中力の向上方法を図る)と回答し、もっとも多かった。以下、「職場のリラクセーション体操」(職場で気軽に実践できる体操によってリラクセーションや集中力の向上を図る)、「音楽を使った呼吸法」(音楽のリズムにあわせて腹式呼吸を学び、集中力の向上や全身の血液の循環を促す)、「カラーセラピー」(色を使って自己の性格を理解し、コミュニケーションや教育に活かす)などが続いた。一方、費用の負担形態について、どの項目でも半数以上が「会社の費用負担なら参加したい」と回答している。

職場で感じるストレスは「人間関係」がトップ - 心身に影響も

従業員が職場で感じているストレスについては、65%が「職場のストレス原因により心身に影響が出たことがある」と回答。また、その要因のトップは「社内の人間関係」(上司、同僚、部下との人間関係)で回答者の約半数を占めた。以下、「仕事がやりにくい」(裁量が少ない、組織の壁がある、役割が不明確など)、「仕事の量が多い」、「将来が不安」(長期のキャリア計画、会社の将来性など)、「仕事がつまらない」(自分の能力を活用できない、単純作業の繰り返しなど)、「給料が安い」、「物理的な労働環境」(オフィス環境、通勤など)、「仕事への適正がない」、「顧客や取引先との関係」という回答が続いた。

しかし、この結果を年代や性別で比較してみると、女性はすべての年代で「社内の人間関係」の回答がもっとも多かった。また、以下の順位も「仕事がやりにくい」、「将来が不安」の順で20代から40代までで共通した結果が得られた。

一方、男性は20代と30代のトップが「仕事がやりにくい」、40代と50代が「社内の人間関係」がトップだった。以下の順位も20代では「仕事がつまらない」、「将来が不安」の順、30代が「仕事の量が多い」、「社内の人間関係」。40代が「仕事がやりにくい」、「仕事の量が多い」。50代が「仕事がやりにくい」、「将来が不安」の順と、世代別で差異が見られた。