今後の技術的な展開または課題


――現状、技術的にクリアすべき課題

Flashインタフェースで提供されているブログサイトはほとんどないと思われますが、やはりFlashでのテキストまわりの機能が課題です。Undo/Redoがサポートされていなかったり、HTMLタグのサポート状況が低かったり。Mac版「Adobe Flash Player」で日本語テキストのインライン入力がサポートがされていないなど、通常のHTMLサイトに比べると使い勝手がやや劣る部分が残っています。このあたりはカスタムコンポーネントで対応している部分もありますが、将来のFlash Playerに期待したいと思います。

また、nendoではユーザーが公開チャンネルを持つことができるため、パーマリンクやSEOについても対応を行っています。

Ajaxで実装されたアプリケーションにも同様の課題が発生しますが、パーマリンクの実装ではJavaScriptとの連携が必要なので、Flashサイトといえどもブラウザの互換性の問題が出てきます。その点については随時、調査し改善していきたいと思います。

――Adobe AIR対応とそのメリット

Flexを採用した時点でAIRへの対応は視野に入れて設計を行っています。AIRに対応することで、(ブラウザを起動しなくても)自分のチャンネルに容易にアクセスできるようになるだけでなく、ドラッグ&ドロップといった直感操作でのアップロードなども可能になるため、デスクトップとシームレスに連携できるアプリケーションになりうると考えています。

「nendo」が目指すWebプラットフォームとは?


――パーソナライズドホームページ分野の現状

パーソナライズドホームページは、自分専用のマイポータルサービスという位置付けで数年前から登場してきており、「iGoogle」「Netvibes」「MyYahoo」「Windows Live」といったサイトが代表的なものになります。

一方、nendoはコミュニケーションを主軸として、基盤にパーソナライズドの仕組みを採用したサービスですので、従来のパーソナライズドホームページとは目指している方向性が若干異なります。

今年に入ってから「Facebook」(カスタマイズ性に富んだ米SNS)にみられるSNSのWebプラットフォーム化が進み、業界各社も次々とその流れに乗ろとしていますが、そこには「コミュニケーションに特化したWebプラットフォーム」の世界ができつつあると考えています。

ユーザーはSNSにカスタマイズ性や拡張性を望んでいて、今後の「コミュニケーション系のWebプラットフォーム」はコミュニケーションサービスの新しい形として成長していくと思われます。そしてその中でnendoは今までのSNSにはなかったRIA(Rich Internet Application)のもつ表現性を武器に、新しい価値を創造していきたいと考えています。

――他のサービスと比べた「nendo」の優位点

nendoはFlexベースで構築しているため、Flashの持つグラフィカルな表現力、シームレスな操作性といったリッチで快適なユーザーエクスペリエンスを提供できます(第2回参照)。また、コミュニケーション系のWebプラットフォームを目指す企業の多くが、ブラウザ内でサービスを展開しているのに対して、nendoはAIRへの対応の流れにもいち早くアプローチできる立場にあり、ブラウザを越えたWebプラットフォームとしてのサービスを提供できると考えています。

――「nendo」のビジネス展開について

現状(2007年12月19日時点)はまだα版ということもあり、まずは多くのユーザーに使ってもらうということが目標です。具体的なビジネスプランについては未定ですが、β版の目途が立つ頃には広告モデルなどを中心に検討していきたいと思っています。

その場合にもnendoでの特徴を活かせるよう、従来の広告モデルとは違った形でチャンネルやガジェットなどの機能と複合した新しいプロモーションモデルを検討していきたいと考えています。


ぜひ「nendo」体験を!

今回3週にわたってnendoのことをお話しさせていただきましたが、nendoに決まった使い方や形はありません。nendoはユーザー自身が自由に表現でき、コミュニケーションの形を創造するパーソナライズドコミュニケーションプラットフォームです。見るより、聞くより、実際に自身で体感してみていただきたいと思います。今後もnendoがユーザーの皆様にとって、よりよいコミュニケーションの形を創造できる場所になるよう取り組んでいきたいと思います。

執筆者プロフィール
池田秀行 グローバルメディアソリューション取締役兼CTO
1976年岡山県生まれ。01年東京工業大学大学院物性物理専攻卒業後、日本総合研究所に入社、Java系大規模基幹システムの開発に従事。07年に同社を退社しグローバルメディアソリューションに入社、「nendo」プロジェクトをスタート、同年6月取締役に就任。RIAやFlexといった新しい技術を取り入れ、これまでのWebプラットフォームに革命を起こす為、「nendo」プロジェクト総合責任者として辣腕を振るう。