「ThinkPad」生産ラインと、IBMブランドの使用権を獲得

11月2日、聯想集団 (Lenovo.、以下「聯想集団」または「聯想」)の最高経営責任者であるWilliam Amelio氏が声明を発表、IBMブランドとの連携を繰り上げ終止するとの意向を明らかにした。

聯想がこのメッセージを出したのは、2007年度第2四半期の業績発表の場だった。同四半期の期間中、聯想の純利益は前年比の約2倍にあたる、1億530万ドル(約118億9,900万円)を記録した。

聯想がIBMのパソコン部門を買収したのは、今をさること3年前のことだった。2004年12月8日、聯想は北京で、総額12億5,000万ドルで、"ビッグブルー"(IBMの愛称)のパソコン事業を買収すると発表、IBM のノートPC「ThinkPad」の生産ラインと、2010年までのIBMブランドの使用権を獲得したのだった。世界を驚かせたこの買収で、聯想集団は年間売り上げで100億ドル(約1兆3,000億円)を上回り、世界第3位のPCメーカーに躍り出たのだった。

聯想は当時、IBMという世界的ブランドと、自らのブランドである「Lenovo」の結合を狙っていた。聯想は創業から20年余、数え切れない挫折も経験してきたが、真の世界企業となるためには、IBMとの提携が手っ取り早いジャンピングボード(踏み台)と考えたからであった。13カ月近い長丁場の交渉を経て、両社は最終的に合意に達したのだった。

「Lenovo ThinkPad」が全世界統一ブランドに

しかし、状況は変わった。IBM ThinkPadブランドは今後、「Lenovo ThinkPad」に切り替わり、新製品からは「IBM」のロゴが消える。聯想は、全世界で統一したブランドLenovo ThinkPadを使うことになる。もちろんこれは、聯想集団が世界的な自社ブランド構築に向かうシグナルにほかならない。

聯想はIBMのPC事業買収後、PCと携帯電話をコア業務として、ブランドイメージ向上に取り組んできた。国際化の道をゆく中国企業の代表として、国民からの「期待」も熱い企業だ。

聯想はIBMを買収したことで、「IBM」の商標の5年間の使用権と、「ThinkPad」の商標の所有権を獲得、IBM開発チームの技術力とブランドを頼りとして、世界市場におけるこれまでのボトルネック突破を図り、国際的に認知されたメーカーとなることを望んだ。IBM、ThinkPadの技術チームは、聯想に高度のサポートを提供。それは、ある意味で聯想が国際市場に進出するための「切り札」となるはずだった。