三菱重工業(MHI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13日、種子島宇宙センターにて「Y-0ブリーフィング」を開催した。昨日(Y-1ブリーフィング)の段階からは特に変わった情報はないが、天候については改善がより確実になってきており、スケジュール通り、14日に打上げを実施すると発表された。

打上げ前日に行われるのがY-0ブリーフィング。今日もMHI/JAXA双方から出席

今日の種子島宇宙センター。曇りベースだが、時折、激しく雨が降っている

まず最新の天候状況だが、種子島宇宙センターが今朝発表した気象情報によると、打上げ当日の14日は「曇り時々晴れ、にわか雨」と、かなり予想が改善された。今後、機体移動の判断(第1回GO/NOGO判断)を午後6時半ころ、推進剤充填の判断(第2回GO/NOGO判断)を明日深夜0時半ころに行うが、これをクリアすると、機体移動が午後9時半、推進剤充填は明日1時半ころに開始される。

今日のブリーフィングには、JAXA東京事務所から滝澤悦貞・SELENEプロジェクトマネージャが中継で出席、月周回衛星「かぐや」(SELENE)の最新の飛行計画について説明した。飛行計画はもともと、打上げ日によって異なるが、14日打上げ時の計画では、13日打上げのときよりも月への到着が1日短くなっており、到着の日にち自体は同じになるという。これは、地球周回の2周目の高度を下げることで調整するという。

東京から参加の滝澤悦貞・SELENEプロジェクトマネージャ(左)

ちなみにこの地球周回軌道は、遠地点が23万kmと、静止衛星を投入するGTO(静止トランスファ軌道)の3万6,000kmよりもかなり高度のある楕円軌道となる。月までの距離が38万kmであるので、この軌道がどれだけ長いかが分かるが、13号機は2段目の燃焼時間を通常よりも長くすることで、これほどの高度を稼いでいるということだ。

ところで昨日のレポートでも述べたが、今回から、H-IIAロケットの打上げ業務はMHIに移管されている。製造から打上げまでを一貫してMHIが行うわけだが、これについて、佐藤寿晃・JAXA企画管理主任は、「今までJAXAで開発してきて、運用段階になったということ。運用に入ったものは民間に移管して、JAXAとしては新しい研究開発にリソースを割きたい」と説明する。

なお移管によるメリットとしては、将来的に「品質向上やコストダウンも出てくると考えている」(佐藤氏)という。今回の打上げコストはこれまでと「同等の価格」(同)とのことだが、体制の変更に合わせ、現地の人員はMHI側が約50名の増員、JAXA側が約100名の削減となっているそうだ。