サイトフォーディー

SiTE4D(以下、SiTE4D)は、SiTE4D Labsにおいて作成された数々のデモを紹介した。

まず、AIRを使用したアプリケーションとして、時計、カレンダー、検索、Podcastといった単体ウィジェットやそれらを複合したアプリケーション、そしてオンデマンドCRM(顧客管理)サービスであるsalesforce.comの機能を利用して作られた、AIRならではのビジネス用ダッシュボードを次々と紹介した。

最後に紹介されたブックマークアプリケーションは、Webページの情報をトリミングして保存したり、保存したページを切り取るなど、サイトをまるでスクラップブックのように編集するといった機能を持つ。AIRのブラウザコンポーネントをダイナミックに使用してみせ、会場の反応も一段と大きくなった。

また、そのファイルをサーバにアップロードしてシェアするなどWeb2.0的な発展についても述べた。最後に、「AIRにおいてはブラウザを、ものの1分で作成することが可能」とAIRでの開発の容易性を強調した。

バスキュール

続いてFlash Developer代表としてバスキュールのデモが行われた。「Webを中心としたインタラクティブコンテンツの企画制作を行っているところが何をできるか?」ということのヒントとして、ブラウザコンポーネントに着目した3つのアプリケーションを紹介した。

まず、3Dの立方体や球体などの形をしたブラウザuBrowserが紹介された。会議中に実装されたということで、その開発の容易性を強調していた。

続いてカスタムブラウザの可能性として、用途が特殊なブラウザ、個人で作れる、楽しめるブラウザ、しようもないブラウザ……ということを突き詰めた一つの解答として、ギターを弾くフリをするAirGuitar(エアギター)のように、働いているフリをする"Airworks"というサボりツール(ブラウザ)が紹介された。

一見するとただのFireWorksのようなAirworksは、実はステージ上にブラウザコンポーネントがオブジェクトとして描画されるブラウザであり、FireWorksとしての機能(アルファ、ブレンドモード、フィルタなどのエフェクトがブラウザにかかる)もまた保持しており「ブラウザコンポーネントを使えるのはAIR以外にも色々あるが、そのままFlashのレンダリングをそのまま使えるのが新しいのではないか」という可能性を示していた。

最後に紹介されたGrid Browserは多くの人の表示しているブラウザをグリッド表示するというWeb2.0的な発想によるブラウザ。ニコニコ動画風のコメント表示や、地雷機能で相手を指定したサイトへ吹き飛ばすなど楽しい機能が盛り込まれ、会場を笑いの渦に巻き込んだ。

ティーケーラボ

ティーケーラボからは、AIR SPACEというAIRを使った新しいプッシュ型のメディアが紹介された。

AIR SPACE はC/Sシステムの形態を取り、サーバより"Push"された動画やHTMLを、クライアントであるプレイヤーが表示するという、新しい配信の仕組みを提供するサービス。

従来のストリーミングと比べたプッシュ型メディアの利点として、ユーザが高画質な情報をダウンロードすることを意識せず視聴することができるということや、個々のユーザに時間を指定して広告を通知するといった使い方を挙げられた。

実制作において工夫した点としては、大容量のデータの場合、トリガーのデータをPUSHし、クライアントよりサーバからデータをダウンロードするという手順や、AS3におけるSocketの制約からパケットに分けてデータをダウンロードするといった手順を披露した。

「今後、機能を追加して実装した後にポータルサイトを作成し、サービスインを行う予定です。コラボレーションする企業を募集しているので、是非お気軽にお声掛けしてください」とアナウンスをしていた。

パネルディスカッション

最後にデモバトルに参加された企業によるパネルディスカッションが行われた。AIR の今後と可能性を表した発言をいくつかピックアップさせていただく。

ティーケーラボ 小坂氏
「AIRを通じてデザイナーとディベロッパーの新しいコラボレーションが生まれる機会となった」

バスキュール 亀田氏
「AIRは、ディベロッパーの人が参入しやすい」「AIRでPtoP(Peer to Peer)アプリを作成できるのを楽しみにしている(今後のバージョンにて実装予定)」

サイトフォーディー 隈元氏
「FlexBuilderは容易にすごい機能を実現しやすく、思っていることを形にしやすい。仕様を固めすぎない時点から機能を追加、精査しながら開発することができた」「AIRの魅力がまだエンドユーザまで行き渡っていないので、もっと盛り上げてほしい」(サイトフォーディー 隈元氏)

ソニー 高野氏
「AIRを使用することで、ユーザが簡単にWebへ情報を流通させることができる」

セカンドファクトリー 東氏
「既存のものをAIRにコンバートした後に、その上で何を+αできるかが大事」 「デザイナーとディベロッパーのワークフローを見せてほしい」

Seasar ファウンデーション/JJUG/ISID ひが氏
「AIRを作成する際のコミュニティを育ててほしい」

イベントに参加した印象としては、「AIRによる開発の容易性」や「AIRの登場によって、デザイナーとディベロッパーによる新しいコラボレーションの形が開発スタイルとして生まれる」といったことが強調される結果となった思う。同時に、それを体言するかのように、デザイナーとディベロッパーが同時に集まったイベントでもあった。また、ソフトウェアのディベロッパーからWebクリエイターまで広く門戸が開かれているプラットフォームであることから、お互いの領域を上手く組み合わせたコラボレーションや、どちらの領域も横断して活躍するクリエイターが生まれくるのではないかと思われ、今後が楽しみだ。