ヤフーは15日、都内で「Yahoo!JAPAN パートナーカンファレンス 2007」を開催した。「Yahoo!JAPANに人を集める」という従来の戦略を転回、昨年来からの「ソーシャルメディア化」を加速させ、携帯デバイスなどの利用を見込んだ「エブリウェア化」、そしてYahoo!JAPAN IDの外部開放も視野に入れた「オープン化」に取り組むことが明かされた。年明けにはYahoo!JAPAN トップページのリニューアルが実施される予定で、ヤフーの全社戦略に注目が集まる。

カンファレンスには同社代表取締役社長の井上雅博氏、同取締役最高執行責任者の喜多埜裕明氏、同メディア事業部長の宮坂学氏が登壇し、全社戦略を「ソーシャルメディア化」「エブリウェア化」「オープン化」の3点から説明した。

ソーシャルメディア化 - 昨年来からの動きを加速

ユーザーが積極的にYahoo!JAPANのサービス、コンテンツに参加することで、サイトの利用活性化に繋がり、滞在時間を伸ばすことが可能となる。Yahoo!JAPANでは現在、100を超えるサービスを展開しているが、「全てのサービスを、ことごとくソーシャルメディア化する」と井上社長は意気込みをみせる。

「ソーシャルメディア化」は「CGM化」と言い換え可能だが、井上社長の言葉通り、同社は昨年からCGM領域に本腰で力を入れ始めた。昨年3月にはSNS「Yahoo! 360°」のβ版をリリース、7月に名称を「Yahoo! Days」に改めサービスを展開中だ。今年に入ってからは、4月にソーシャルブックマークサービス「Yahoo!ブックマーク」と、動画配信サービス「Yahoo!ビデオキャスト」をリリースしている

また、昨年冬から現在にかけて、Yahoo!ニュースを段階的にリニューアル。現在のYahoo!ニュースには、記事の末尾に「みんなの感想」や「Yahoo!知恵袋に質問する」など、サイト内の他サービスへ導線が引かれているだけでなく、「はてなブックマーク」「Buzzurl」といったソーシャルブックマークサービスのボタンが並んでいる。

ニュース記事そのものへの意識にも変化があったようだ。喜多埜氏は、「オープン化」戦略の一環である「Yahoo!メディアネットワーク」を説明。これまでYahoo!JAPAN内で閉じていたトラフィックをパートナーサイトに飛ばし、収益化を図りたい意向を示す。

Yahoo!JAPAN―パートナーサイト間のビジネスも変わりつつある

マスコミ関係者の間では、Yahoo!ニュースは記事の配信元サイトや、外部サイトへのリンクに積極的とは言えず、Yahoo!JAPANに集まるトラフィックをサイト内に留める傾向が強いという声が多かった。宮坂氏は、「今後はトラフィックを(パートナーサイトへ)誘導し、共同で広告/課金ビジネスを展開、収益をシェアしていきたい」と話す。

同社はニュース記事本文からの誘導について自信を持っており、カンファレンスでは一例として、A社の場合で530万クリック/月、B社で640万クリック/月、C社で2,000万クリック/月という、2007年5月度の実績を示した。

Yahoo!ニュースだけでは「ユーザーの多様なニーズに対応できなくなった」ためだと宮坂氏は説明するが、パートナーサイトとの連携については、井上社長も「Yahoo!JAPANだけで一生懸命頑張っても、もう無理だと、遅ればせながら気づいた」と語っている。

また、同社は現在、Yahoo!JAPANトップページのリニューアルを検討中だ。リニューアル後のトップページは「メディアネットワーク対応になる」(宮坂氏)とのことで、新聞社サイトのニュース特集のような「スポットライト枠」(仮称)と、「ネットワークパートナーズ枠」(同)を設けることを検討しているという。現在のトップページにある「トピックス」のリンクは、クリックするとYahoo!ニュース内の記事にアクセスするよう設定されているが、「スポットライト」枠ではパートナーサイトにダイレクトに飛ばすことも検討しているのだという。

トップページのリニューアルのスケジュールは、「7月にα版、秋・冬にβ版をリリースし、年明けにリニューアルする予定」(同社広報部)だ。