スマートフォンの出荷台数は新型コロナウィルスの影響もありここのところ不調が続いています。「最新モデルでなくてもかまわない」と考える消費者が増えているのもその一因でしょう。たとえばカウンターポイントの調査によると、2022年10月に日本で一番売れたスマートフォンは「iPhone SE 2022年モデル」、2位は「iPhone 13」でした。調査によるとこの2機種だけで全体の販売台数の37%を占めています。

世界最大のスマートフォン市場の中国でも2022年の販売台数は前年割れを起こしました。高画質カメラやスタイリッシュなデザインの製品を出しても消費者の目はなかなか新製品に向いてくれないのです。そうなれば考えられる手は1つ、有名ブランドとのコラボです。中国メーカー各社はこれまでも様々なメーカーとコラボを行ってきましたが、ついに世界中の誰もが知っているブランドとのコラボモデルが登場しました。コラボ相手はあのコカ・コーラです。

  • realme 10 Pro Coca-Cola Ediition

realmeが2022年2月に発売した最新モデル「realme 10 Pro」のバリエーションとして登場したのが「realme 10 Pro Coca-Cola Ediition」です。realme 10 ProそのものはチップセットにSnapdragon 695 5Gを搭載、カメラは1億800万画素と200万画素(深度測定)2つというミドルレンジモデル。コラボモデルの本体背面にはコカ・コーラのロゴと同社のブランドカラーが大きくフィーチャーされ、遠めに見てもコカ・コーラモデルであることがわかります。しかも付属品も豪華。パッケージが専用品であるのはもちろん、realmeの公式ネコ型キャラクター「realmeow」のコカ・コーラボトル型フィギュアやステッカーも付属します。SIMピンはボトルの王冠の形という凝りようです。

  • 付属品もすべてがコカ・コーラをイメージ。王冠のSIMピンなど芸も細かい

世界最大のブランディング会社「インターブランド」が選んだ2022年の世界企業ブランドランキングで、コカ・コーラは7位に位置します。上位を見るとApple、Microsoft、Amazon、Google、サムスン、トヨタ自動車。またコカ・コーラの下にはメルセデスベンツ、ディズニー、ナイキと続きます。この中でスマートフォンメーカーがコラボ出来そうなのはトヨタ以下の会社でしょう。現にシャオミはメルセデスAMGとコラボ済み。またディズニーは日本でもスマートフォンが発売されました。ナイキはAppleがApple Watchのコラボモデルを出しています。

  • 韓国の「日本風居酒屋」の店頭。自販機で日本のイメージを出しているが、その自販機はコカ・コーラだからこそリアリティーがある

一方コカ・コーラはブランドランキングの中でも唯一の食品関連企業であり、誰もが日常的に目にするブランドです。ランキング抜きにここまで世界中、老若男女に知られたブランドはなかなか無いでしょう。そんなメーカーとコラボするくらいですから、relameはこのモデルをかなり本気で売り込もうとしているに違いありません。実はrealme 10 Pro Coca-Cola Ediitionはインドで発売になりました。価格は20,999ルピー、約3万4,000円です。意外と安いように思いますが、インドは2022年後半から5Gが始まったこともあり、低価格な5Gスマートフォンの販売競争が厳しくなっています。realmeとしては5G市場でシェアを獲るため思い切った製品を投入してきたというわけです。

  • 実際の製品を触ってみた。コカ・コーラ好きでなくとも欲しくなる

さて世界的に知られているブランドは様々なものがありますが、日本のキャラクターは多くが各国で人気です。その中でもかなり昔から人気が衰えないのがサンリオのハローキティ。シャオミが中国で2月に発売した「Xiaomi Civi 2 Hello Kitty Limited Edition」はバレンタインデー向けに登場した製品です。

  • Xiaomi Civi 2 Hello Kitty Limited Edition

Xiaomi Civi 2は Snapdragon 7 Gen 1をチップセットに採用する。ミドルハイレンジスマートフォン。注目すべきはフロントカメラで、3,200万画素のデュアルカメラを搭載します。つまりセルフィーに特化した「女子スマホ」なのです。そんな女性向けのスマートフォンにハローキティモデルを追加するとはシャオミも抜け目がありません。また日本ではバレンタインデーは女性が男性にチョコレートを送るのが習慣になっていますが、中国をはじめ、諸外国では男性から女性へギフトをプレゼントする国が大多数。Xiaomi Civi 2 Hello Kitty Limited Editionもそんなギフト用として登場したわけです。中国では2,799元(約5万5,000円)で販売されています。

  • Xiaomi Civi 2 Hello Kitty Limited Editionの実機。日本でも出してほしいものだ

ブランドコラボスマートフォンはvivoの「iQOO BMW M Edition」のように新製品が出るたびに必ずコラボモデルを出している例もあり、今や各メーカーにとって欠かせない存在になっています。次はどんなコラボモデルが出るのか楽しみですが、日本のブランドやキャラクターコラボモデルが出るならぜひ日本発売も期待したいものです。