2021年10月16日、17日にオンラインにて「全国都道府県eスポーツ選手権2021 MIE」が開催されました。全国都道府県eスポーツ選手権は、国体の文化プログラムとして行われているもので、今年で3回目。初回のいばらき国体ではオフラインでの開催でしたが、2020年の鹿児島国体と今回の三重国体はオンライン形式です。

そもそも鹿児島国体が延期、三重国体がコロナ禍により中止となっているので、全国都道府県eスポーツ選手権が開催できたことだけでも喜ばしいことでしょう。また、オンラインながら出場選手とはスタジオとつながっており、離れていながらも意気込みや感想を聞けるなど、オフライン並の対応ができていたのは感嘆しました。

  • 「全国都道府県eスポーツ選手権2021MIE」の総合チャンネルで司会を務めたのは、FM三重の代田和也アナウンサー(写真右)と、同じくFM三重のキヨンセこと清田のぞみアナウンサー。どちらも三重県を代表する伊賀忍者の扮装をして登場

全国都道府県eスポーツ選手権2021MIEの競技タイトルは、『eFootballウイニングイレブン2021』『プロ野球スピリッツA』『グランツーリスモSPORT』『モンスターストライク』『パズル&ドラゴンズ』『ぷよぷよeスポーツ』の6タイトル。「2020 KAGOSHIMA」大会のタイトルと比較すると、『モンスターストライク』が追加され、『パワフルプロ野球2020』が『プロ野球スピリッツA』に変更されています。

『eFootballウイニングイレブン2021』は高校生の部、オープンの部、『プロ野球スピリッツA』は学生の部、『グランツーリスモSPORT』はU-18の部、一般の部、『モンスターストライク』は少年の部、『パズル&ドラゴンズ』はオープンの部、『ぷよぷよeスポーツ』は小学生の部、一般の部の9部門で争われます。

各部門の順位によって所属する都道府県にポイントが入り、総合ポイントが高い都道府県が優勝となります。今回の決勝大会に出場するのは、日本各地の予選を勝ち抜いた都道府県代表チーム。したがって、決勝大会の時点ですべての部門で敗退してしまった県もありました。

  • タイトルごとに総ポイントは決まっており、2部門あるタイトルはポイントを分け合います

  • 灰色になっている県は残念ながら予選敗退。決勝大会には進出できていません

そんな激戦のなか、優勝したのは大阪府。昨年の2020KAGOSHIMAに引き続き、連覇を達成しました。

全国都道府県eスポーツ選手権は、多くのタイトルで少年の部や学生の部を設けています。したがって、参加している年齢層が低くなっているのも特徴。そのため、大会では年齢の低い選手の活躍が目立ちました。

『ぷよぷよeスポーツ』では、8歳同士の対戦があったり、プロ選手並のレート3200を超える選手がいたり、すでに一般の部でも活躍できるのではないかというレベルの選手がそろっていました。

2つの部門を用意しているタイトルの場合、少年の部や学生の部など、高校生以下を対象とするなか、『ぷよぷよeスポーツ』では小学生以下が対象。それでいて、その実力の高さを見せているので、“ぷよラーの底力”に驚かされます。

  • プロ選手顔負けの連鎖や対応力を見せた『ぷよぷよeスポーツ』小学生の部

『パズル&ドラゴンズ』は、年齢制限のないオープンの部のみの開催。プロアマ問わず出場することができるなか、プロ資格のない直樹選手が優勝しました。この優勝によりプロライセンスが発行されます。

『モンスターストライク』で優勝した「アイコニックパレード」は、7月に開催したモンストグランプリで勝負の鍵となったステージ「光魂の暗黒神」の6手クリアを最初に攻略したチームです。プロ顔負けの攻略力をもち、大舞台でも物怖じせず実力を発揮しました。

今後、モンストグランプリ本戦に出場することがあったら、十分活躍に期待できるでしょう。そして、そのアイコニックパレードと決勝戦で争った味噌煮込み超強爆発もあと一歩までアイコニックパレードを追い詰めた実力があり、このチームも将来が楽しみです。

  • モンストグランプリで猛威を振るった攻略法の原点を開発した「アイコニックパレード」

『グランツーリスモSPORT』では、U-18の部と一般の部ともに高い技術力を見せつけてくれました。一般の部のほとんどのプレイヤーが20代前半にもかかわらず『グランツーリスモ』のプレイ歴が20年程度あるそう。4~7歳くらいからプレイしている計算です。

フィジカルスポーツで活躍する選手は、多くが幼少から競技を始めています。eスポーツも、小さいころからプレイすることで、より高い成長が見込めるかもしれないという、1つの仮説を証明できたのかもしれません。

とはいえ、『グランツーリスモSPORT』のU-18の部では、プレイ歴1年の佐々木拓眞選手が優勝し、一般の部ではプレイ歴3年の鍋谷奏輝選手が3位に入るなど、短期間で一気に才能が花開く選手もいます。

1つのゲームを継続的にプレイすることも重要だと思いますが、さまざまなゲームに触れることも上達には必要なのでしょう。eスポーツの奥深さを感じさせます。

  • 大会3年連続出場やプレイ歴10年を超える選手が多いなか、たった1年で優勝まで登り詰めた佐々木拓眞選手

今回、オンライン開催でもっとも残念に思ったのは、『グランツーリスモSPORT』が現地で開催できなかったこと。三重県といえば鈴鹿サーキットでお馴染みですが、全国都道府県eスポーツ選手権がオフラインで開催されていた場合、『グランツーリスモSPORT』部門は鈴鹿サーキットを使用する予定だったそうです。鈴鹿サーキットのどこでプレイするかはわかりませんが、もしグリッド上にゲームを設置して試合をするのであれば、これ以上の演出はないでしょう。そこはオフラインでできなかった悔しさが残ります。

  • 金銀銅のメダルは、伊賀忍者をイメージ

2022年の国体は栃木県にて開催。もちろん、全国都道府県eスポーツ選手権も第4回大会として開催することを福田富一知事が宣言しました。

  • ビデオメッセージで2022年の開催を発表した栃木県の福田富一知事

競技タイトルは回を重ねるごとに増えているので、第4回大会も追加される可能性はあると思います。タイトルが増えれば、それだけ日本一を目指せる選手が増えるので、検討しているメーカーはぜひ、参加表明を!