2021年10月10日に対戦格闘ゲーム『Virtua Fighter esports(VFes)』の公式大会「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_0」決勝大会が開催されました。
大会は、19歳以下を対象とした「U19」と制限なしの「FREE」の2つの部門。決勝大会にはそれぞれ予選を勝ち抜いた選手が出場します。U19は決勝戦のみ、FREEはベスト16から、1試合3ラウンドの2試合先取(BO3)でシングルエリミネーショントーナメントが行われました。
優勝したのは、U19が学生サラ【危険】選手、FREEがハート様選手。記念すべきVIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUPの初代王者に輝くとともに、ゲーム内称号「スタープレイヤー」を獲得しました。
今大会は無観客試合ながら、選手はすべて会場に集結し、オフラインでの対戦となりました。緊急事態宣言も明け、新型コロナ感染者も激減したなか、ちょうど良いタイミングでの開催となったわけです。7月18日に開催した「VIRTUA FIGHTER esports PRE SEASON MATCH」はオンラインでの開催だったので、その盛り上がりは別格でした。なお、タイトルにSEASON_0とあるように、今大会は公式大会であるものの、本格始動前の準備大会の位置づけです。
さて、大会ですが、先述した通り、今回は19歳以下のU19と無制限のFREEの2部門で行われました。「バーチャファイター」シリーズは、『Virtua Fighter 2』『Virtua Fighter 3』時代に、サラリーマンが仕事帰りにゲームセンターで熱い戦いを繰り広げた過去があり、社会現象になったほどです。
したがって、ほかの対戦格闘ゲームよりも年齢層が高く、当時のプレイヤーだった人はいまや50歳オーバーなんてことも。そのため、上級プレイヤーもベテランそろいなのが定評です。
また、「バーチャファイター」シリーズ自体、『Virtua Fighter 5 FinalShowdown』から10年以上新作がリリースされておらず、新規ユーザーがまったく入ってこなかったと言える状態でした。そういった若年層の少なさをカバーすべく、『VFes』から始めた人でも参加しやすいようにU19部門を用意。今回優勝した学生サラ【危険】選手は、17歳ながらプレイヤー歴が6年あり、数多くの大会に出場しています。先日、沖縄で開催された大会でもU19部門で優勝していました。
FREE部門はコミュニティで活動を続ける選手が多く参加しており、ベテラン選手がそろっていました。優勝したハート様選手は、オンライン最強と言われた選手ですが、オフラインでの活動も精力的に行っています。前回のプレ大会では、ベスト6で敗退してしまったので、雪辱を果たした結果となりました。ハート様選手は、マルチキャラ(複数のキャラクターを使用する)プレイヤーですが、今大会では鷹嵐1本で勝ち抜いています。
プレ大会で優勝したしろ選手は予選敗退となりましたが、プレ大会でそのしろ選手にルーザーズファイナル、グランドファイナルで敗れたバルゴのジャン選手は決勝トーナメントに進出。奇しくもしろ選手と同じジャッキーを使うとんちゃん選手に準決勝で敗れ、プレ大会に続き、今回もあと一歩で優勝に手が届きませんでした。
試合前のインタビューでは、対戦する選手同士が、煽りあったり、ポーズを決めたり、いろいろなネタを仕込んでいました。このあたりは大会慣れをしている選手が多く、大会の盛り上げ方を知っていると感心する場面でした。そういう点ではすでにプロとしての素養が備わっているのがバーチャプレイヤーと言えるでしょう。
大会終了後には青木プロデューサーから、「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP SEASON_0 2nd」の開催が発表され、さらにその先には本格始動となる「SEASON_1」の開催も示唆していました。
「SEASON_1」に関しては、プロライセンスの発行や高額賞金の授与などについても検討中であることを述べていました。ゲストの歌広場淳さんはこれを受け「バーチャファイターeスポーツのプロ選手になりたい! 二足いや三足のわらじでいきたい」とやる気を見せていました。
U19で優勝した学生サラ【危険】選手がバーチャファイターシリーズをプレイするきっかけとなったのは、父親の存在だと言います。父親が家で『Virtua Fighter 5』をプレイしているのをみて、プレイし始めました。いまでも父親と対戦しており、親子2代で「バーチャファイター」に勤しんでいるわけです。
父親の年齢は50歳。ちょうど『Virtua Fighter 2』や『Virtua Fighter 3』がリリースされていたバーチャ全盛期に20代前半だったのでしょう。先述した社会現象となったバーチャブームのど真ん中でプレイしていた、まさにバーチャ世代でしょう。そのバーチャ世代の子どもたちが『Virtua Fighter esports』をプレイし、バーチャでつながっているのは感慨深いものがあります。
かつて横浜ジョイポリスで開催されていた全国大会ほどの規模や盛り上がりを再現するのは、さすがに簡単ではないでしょう。青木プロデューサーもそこを目指しているわけではないと言っています。当時にはなかった幅広い世代がプレイする現在にこそできることがあるので、新しいバーチャの大会シーンを築き上げてほしいところ。新世代の発掘と同時に、バーチャ世代の呼び戻しができれば、それも可能ではないでしょうか。