7月23日~25日に『鉄拳7』を使った「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7 Season4」の上位リーグ「T1 LEAGUE」が開催されました。

「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」では、オンライン予選から勝ち上がった5名が「T2 LEAGUE」に昇格。「T2 LEAGUE」では、前シーズン「T1 LEAGUE」入れ替え戦の敗者と「T2 LEAGUE」残留組、オンライン予選昇格組が2つのブロックに分かれて対戦します。

「T2 LEAGUE」各ブロックの優勝者は「T1 LEAGUE」へ昇格。その2名に加えて、「T1 LEAGUE」入れ替え戦の勝者、「T1 LEAGUE」残留組の8名によるリーグ戦を実施。「T1 LEAGUE」では7本先取の総当たりで、勝敗数、直接対決の結果、ポイント数の順番で順位が確定します。

  • TOPANGALEAGUE鉄拳7シーズン4の「T1 LEAGUE」進出者

「Season4」では、T1残留組の弦選手、ランチュ選手、AO選手、ダブル選手、入れ替え戦勝者のノビ選手、チクリン選手、T2昇格組の用心BΩY選手、PINYA選手の8名が出場します。

大会は、最終戦にもつれ込んだ弦選手との直接対決に勝利したチクリン選手が優勝。見事「Season4」の覇者となりました。

  • 優勝したチクリン選手

2日を終えた時点で、弦選手とチクリン選手が4勝0敗でトップに並び、ダブル選手が3勝1敗で追いかける展開でした。ポイント的には弦選手が圧倒的に有利でしたが、弦選手は最終日にチクリン選手とダブル選手の2人との直接対決を残しており、最後の最後まで勝負はわからない状態です。

結果として、ダブル選手は弦選手に敗れ、優勝戦線から離脱。弦選手とチクリン選手の最終試合に優勝の行方が委ねられました。

ここで注目したいのが、弦選手の1試合目とチクリン選手の2試合目です。弦選手はAO選手と対戦し、敗北しています。チクリン選手はノビ選手と対戦し、こちらも敗北しています。

AO選手は2勝5敗で次回は「T2 LEAGUE」へ降格する結果となりましたが、弦選手にチクリン選手以外で土をつけた選手。また、ノビ選手は3勝4敗で次回入れ替え戦行きになりながらも優勝したチクリンに唯一、勝利しています。

  • ここまで無敗の弦選手(写真左)に土をつけたAO選手(写真右)

  • 優勝したチクリン選手に唯一勝利したノビ選手

長期の総当たりリーグ戦は、実力が反映されやすい大会システムと言われています。今回、成績があまり振るわなかった選手が上位陣を倒していることから、それだけ実力が拮抗したリーグであるとわかります。

ほかにも、残念ながら1勝6敗の成績で最下位となり、「T2 LEAGUE」落ちとなったPINYA選手は、「T2 LEAGUE」からの昇格組で、その「T2 LEAGUE」では無類の強さを誇っていました。「T2 LEAGUE」の同じグループにはじょうたろう。選手やノロマ選手、ちりちり選手がおり、激戦区の中でそれだけの好成績を残した強豪選手です。

しかし、「T1 LEAGUE」では、その実力を発揮できず仕舞い。「Seoson3」から2期連続で「T2 LEAGUE」からの勝ち上がりをした実力を持ってしても、一筋縄でいかないのが「TOPANGA LEAGUE x TEKKEN7」というわけです。

  • 2度目の「T1 LEAGUE」挑戦も辛い結果となったPINYA選手

  • 「T2 LEAGUE」昇格組から入れ替え戦に踏みとどまった用心BΩY選手

対戦カードのうち、特に注目したいのが、チクリン選手と弦選手の対戦です。チクリン選手の弦選手に対する「Season3」までの対戦結果は、「Season1」が8勝10敗、「Season2」が0勝7敗、「Season3」が2勝7敗と、3連敗を喫しています。

デュースの結果敗れた「Season1」はいいとしても、「Season2」「Season3」は圧倒的な差で敗退。相性的にキツいと言わざるを得ない組み合わせですが、今回、チクリン選手は持ち前の練習量と研究によって、克服しています。

今回の弦選手との対戦でチクリン選手が選んだキャラクターは、仁でした。決して弱いわけではないですが、大会シーンではあまり見られないキャラクターです。しかも、チクリン選手も「Season4」では一度も出していません。

大事な大会最終戦でいきなり実戦投入するさまは、2019年に開催された「Tekken World Tour 2019 Finals」を彷彿させます。その大会では、豪鬼を苦手とするUlsan選手に対して、いきなり豪鬼の投入。もちろん練習はしていたでしょう。ですが、対戦者の相性がいい組み合わせであるものの、そこまで一度も大会で使用していなかったことで、会場には大きなざわめきが起きました。

今回の仁も、まさに同じ状態。そしてその効果はてき面に表れます。まずは、仁でいきなりの4連勝。弦選手はたまらずキャラクターをリディアに変更し、リディアで2試合取り返します。

チクリン選手は、2試合様子をみたのち、リディアに相性の良いギースに変更。弦選手は即座にファーカムラムに変更するも、波に乗ったチクリン選手を止めることができず、そのまま敗北となります。終わってみればチクリン選手は、7勝2敗の圧倒的な結果で勝利を収めました。

  • チクリン選手(写真左)と弦選手(写真右)の最終試合

大会終了後、チクリン選手は弦選手との対戦についてこう語っています。

「弦選手のプレイスタイル、とくにファーカムラムの強い派生に対して、仁がいいのではないかと考えていました。弦選手がリディアに変えて1回負けたときは、そのまま様子見をしましたが、横からの攻撃に弱いリディアにはギースが相性がいいと思い、変更しました。リディアを使うダブル戦でギースを使ったのも同じ理由です。

また、これまで弦選手にずっと勝てませんでした。苦手とかいうレベルではなく、まったく勝てる気がしていませんでした。そこで、今回の大会に向けて、弦選手が試合している動画を見まくって、対策を練りました。もちろん、弦選手以外の6選手も同様にです。結果として、意外と暴れが多いと気がつき、そこを付くことに決めて、それがうまく機能しましたね」(チクリン選手)

膨大な練習量と、独自の研究によって、困難に立ち向かうさまは、まさにチクリン選手といったところではないでしょうか。

  • 「Season4」にして初めて弦選手に勝利したチクリン選手

なお、前大会では、ファーカムラムを筆頭に、リロイやスティーブなどの強キャラに集中していましたが、今大会では使用キャラが見事にバラけていました。ノビ選手のフェンやダブル選手のリディアなどの新顔に加え、チクリン選手のギース、AO選手の州光、PINYA選手のマスターレイブン、ランチュ選手のジュリア、用心BΩY選手のマードックなど、お馴染みの組み合わせもあるなか、ほとんどキャラが被らなかったので、視聴者を飽きさせなかったでしょう。

AO選手は最終戦でランチュ選手に0勝7敗と完封されてしまいますが、それでも州光を変える気はまったくなかったと言っています。勝敗も重要ですが、選手の個性がでるキャラクター選択と戦いかたには、プロとしての矜持を感じました。

  • 新キャラリディアで参戦したダブル選手

  • 州光を使い続けたAO選手

  • 優勝戦線には絡めなかったものの、安定した成績を残し「T1 LEAGUE」残留をきめたランチュ選手

次回は寒くなったころの開催予定とのこと。さらなる激戦とドラマが展開されるかと思うと、今から楽しみです。