『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』を一言で表すならば、「オープンワールド配送アクションゲーム」だろうか。だが、もちろんただ単純に荷物を運ぶゲームではない。

人との繋がりを感じながら、通信網とともに合衆国の絆を繋げる、そして人々を未来へと繋げる、伝説の配達人「サム・ポーター・ブリッジズ」の物語だ。

舞台は、「デス・ストランディング」と呼ばれる原因不明の怪現象が起きたアメリカ合衆国。幽霊のような脅威「BT」の出現や、人体とBTの接触によって引き起こされる対消滅(ヴォイドアウト)の発生で、都市が分断されてしまう。通信やインフラも機能しなくなり、社会は崩壊。孤立した人々は、各地に点在する地下シェルターに身を潜めて暮らすようになる。

主人公のサム・ポーター・ブリッジズは、そんな荒廃した世界で荷物を届けるフリーランスの配達人。アメリカ再建組織「ブリッジズ」から、「カイラル通信」と呼ばれる特殊な技術でアメリカ全土を繋げてほしいと依頼を受ける。

今回は、2021年9月24日に発売される拡張版、PlayStation 5(PS5)用ソフトウェア『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』を、一足先にプレイ。改めてゲームの概要を紹介するとともに、追加された要素についても触れる。

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    PS5で『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』をプレイ

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    伝説の配達人「サム・ポーター・ブリッジズ」が主人公だ

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    サムは、分断された北米全土をカイラル通信で繋いでほしいとブリッジズから依頼を受ける。カイラル通信を繋げると、大容量のデータを一瞬で送れるうえに、特定の時代の断片から完全なものを再現できるようになるという。つまりデス・ストランディングで消滅したアメリカを再構築することまで可能なのだ。そうして、アメリカ都市連合(UCA)としての再建を目指す

作り込まれた荷物の運搬システムがリアル!

ゲームのメインストリームは、「Qpid」と呼ばれる媒体を各都市で接続し、アメリカの通信網を復活させること。その過程でサムは、さまざまな物資を必要としているところへ配送していく。

荷物を受け取ったらそれを背負い、目的地へ向かう。これだけ見るとかなり単純なゲーム性だが、初めてプレイする人は、まずこの基本的な部分の作り込みに関心させられるはずだ。

その1つが、荷物の量、積み方によってサムの動きが大きく変化すること。荷物は背中やスーツなどに固定して運ぶわけだが、積みすぎると、サムの移動スピードが落ちたり、ちょっとしたフィールドの起伏でバランスを崩してしまったりする。

特に、サムが道なき道を移動しているときは、バランスの維持が難しい。重心がズレたら、荷物の重みで倒れないように、L2ボタンとR2ボタンで踏ん張る必要がある。PS5では、「DualSense ワイヤレスコントローラー」のアダプティブトリガーによって、L2ボタンとR2ボタンの抵抗が変化。背負っている荷物が重ければ重いほど、踏ん張るボタンも重くなるのだ。

L2/R2ボタンを押し続けていると、重い荷物を持っていても比較的姿勢は安定するが、サムの体力を消耗するうえに、プレイヤーの指にもかなり疲労が溜まることだろう。コントローラーを握る手に、サムの負担が伝わってくる気がした。

なお、サムが転倒すると、運んでいる荷物は地面へ落下。ケースの損傷や内容物の劣化につながり、依頼人からの評価が落ちてしまうこともある。無理して大量の荷物を運ぶのではなく、安心安全の“荷物ファースト”の精神を持って依頼に臨まなければならない。

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    荷物の量や積み方は細かく決められる

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    荷物が傾いたら、左右に踏ん張ってバランスを調整。ハプティックフィードバックが、移動時の衝撃だけでなく、重い荷物が傾いたときの負荷まで振動で伝えてくれる

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    荷物を背負いすぎると……おっとっと

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    がっしゃーん

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    荷物をぶちまけて傷つけてしまう恐れがあるぞ

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    しかも、重い荷物を運んでいると、サムの体力が減りやすい。荷物のためにも無理は禁物だ。適宜休憩を取ろう

なるべく平坦な道を探すか、最短距離を無理やり通過するか。配送ルートを考えるのも楽しみの1つだ。道がほとんど整備されていないため、ときには梯子をかけて川を越えたり、ロープをつたって崖を降りたりと、自ら配送ルートを開拓する必要もあるだろう。この世界で物資を運ぶのは命がけである。

「オドラデク」と呼ばれるガジェットを起動すれば、周囲の地形を測量して、安全な場所かどうか判断できるが、筆者は性格上、安全確認をほとんどすることなく、とにかくまっすぐ進み、進めなくなったら迂回ルートを考えるという行き当たりばったりな配送をすることが多かった。ルート選択にはプレイヤーの性格がよく表れるのではないだろうか。

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    配達は道なき道を進むのが基本

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    崖の上り下りは日常茶飯事だ

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    オドラデクで地形を測量。フィールドには危険な場所がいっぱい

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    とりあえず進んでみることが多かったが、地図にラインを引いたり、マーカーをつけたりして、どのルートで進むか考えるのも意外と楽しかった。なお、最初はオススメのルートを提示してくれることもある

「焼きたてのピザ」から「遺体」まで、依頼次第でなんでも配達

運ぶ荷物は、備蓄食料から薬品などさまざま。「水没注意」「縦積注意」といった荷物の配送依頼もある。その場合は、川を迂回するルートを探したり、荷物の積み方を考えたりしなければならない。

ときには「焼きたてのピザ」を運ぶなんて依頼が舞い込んでくることも。横にした状態で、なおかつスピーディに届けなければピザが冷めてしまうミッションだ。いや、合衆国を再建するための任務を遂行している最中にピザを頼むなと言いたくなるが、配達が完了してから「お礼のメール」が届くと、配達してよかったと思うから不思議である。これが「いいね」をもらうことによるオキシトシン効果か。

特に注意しなければならない荷物が「遺体」だ。デス・ストランディングが発生した世界では、遺体を放置しておくと「ネクローシス」と呼ばれる現象が発生し、ヴォイドアウトを引き起こす。遺体を焼却すると「カイラリウム」と呼ばれる汚染物質が発生するため、特定の焼却所まで運ばなければならない。ブリッジズから遺体発見の連絡を受けたら、進行中の配送ミッションをいったん止めて、焼却処理へ向かおう。

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    伝説の配達人はピザも命がけで運ぶ

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    無事に荷物を届けたら依頼人から感謝されることも

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    遺体はすみやかに焼却所へ

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    荷物を納品すると、丁寧に運んだかチェックが入る

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    序盤は淡々と荷物を持って進むことが多いが、歩いているとふいにカメラの距離が変わり、音楽が流れることもある。まるで映画のワンシーンのような演出だ

なお、『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』では、配送時のサムを手助けてくれるガジェット「サポートスケルトン」をゲーム序盤に入手可能。パワードスーツのようなもので、重い荷物を持ったときの負荷を軽減し、ブースト時の移動速度が上がるシロモノだ。かなり役立つだろう。

2019年に『DEATH STRANDING』をプレイしたとき、慣れるまで荷物を持って移動するだけでも苦労した記憶があるのだが、「サポートスケルトン」を装備したからか、序盤でもだいぶラクに目的地までたどり着けた。物語を進めていくと、さらに強力な「パワースケルトン」などを作れるようになる。