「ラチェット&クランク」は2002年に1作目が発売されたアクションゲームシリーズ。ロンバックスという種族の「ラチェット」と、その相棒でロボットの「クランク」が主人公だ。2021年6月11日には、シリーズ最新作であるPlayStation 5(PS5)用ソフトウェア『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』が発売された。
最新作では、次元間転位装置「ディメンジョネイター」を悪のロボット科学者「ドクター・ネファリウス」に奪われるところから物語がスタート。次元の崩壊を食い止めるべく、ラチェットはいくつもの次元、惑星を飛び回る。
プレイヤーは主人公のラチェットと、新キャラクターの女性ロンバックス族「リベット」を主に操作して、いくつものステージを探索。2人の操作方法は共通で、移動に役立つ機能を持った「ガラメカ」と、攻撃手段となる多彩な「武器ガラメカ」を駆使して敵と戦う。
バリエーション豊かな武器ガラメカにワクワク!
『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』では、「武器ガラメカ」を好き放題ぶっ放す痛快さが味わえる。気分はまさにトゲトゲ肩パッドのモヒカン。「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!」と叫びながら、次々に現れる敵キャラを消し炭にしていくのが楽しい。
しかも、武器の種類は17種類とバリエーション豊か。高熱プラズマ弾を発射する「バーストピストル」、ガトリングガンのように高速で連続射撃を行う「ブラックホールストーム」といったシューティングゲームの定番武器から、敵を一定時間植物状態にする液体を周囲にまき散らす「グリーンスプリンクラー」や、キノコの姿をした味方サポーターを生み出す「ミスターファンガイ」など、ユニークな武器も用意されている。バトル中は、敵のタイプや数に応じて、これらの武器を適切に使い分ける判断力も求められるわけだ。
また、武器ガラメカは、使っていくとレベルがアップして、性能が向上するとともに名前も変化。同じ武器でも成長してまた違う使い方ができるようになるのもおもしろい。
筆者がプレイしたところ、特に「グリーンスプリンクラー」がかなり活躍してくれた。大勢の敵が攻めてきたときにとりあえずスプリンクラーを起動させれば、広範囲の敵を足止めしてくれるので、その中心地にグレネード爆弾「シャッターボム」を投げ込み、お掃除完了。そんなコンボが見事に決まり、多くの敵が粉みじんになって消えていく様子を眺めているのも気持ちがいい。武闘派のプレイヤーは、植物状態で無抵抗になった敵を、近距離用武器の「オムレンチ」でたたき壊すのもいいだろう。
武器は、ゲーム内のいたるところにある「マダムズーコン」のお店で、敵を倒して集めたボルトと交換して手に入れる。序盤は使える武器のラインアップが乏しいが、徐々に武器を増やしていけば、戦術の幅も広がり、「どの武器を使って敵を屠ってやろうか」とバトルのたびにワクワクするようになる。個性的な武器は、使うだけで楽しいものだ。
購入したあとは、ラリタニウムと呼ばれる鉱石を使って、威力や最大弾数を増やすなど、武器強化が可能。早めに、使い勝手のいい武器の最大弾数を増やしておけば、ボス戦も有利に進めやすい。
とはいえ、それぞれの武器の弾数は有限。ステージ上に出現する補給ボックスから弾丸を補充できるようにはなっているが、当然、強力な武器の弾数は少ない。無駄撃ちを続ければ、弾切れになることもある。ラクしてステージを進めようと最初から強い武器ガラメカを連発していると、あとで苦戦を強いられるだろう。どのタイミングでどの武器を使うかといった配分も大事だ。
また、「DualSense ワイヤレスコントローラー(以下、DualSense)」との連携が、より没入感あるゲーム体験を提供。武器ガラメカの発射は「R2」ボタンで行うのだが、武器を持つと、「DualSense」の「アダプティブトリガー」によって、軽く押し込める第1段階の部分と、そこから強く押し込む第2段階に分かれる。
たとえば、「バーストピストル」はレベルアップによって「ブラストピストル」という名前になり、3方向に打てるようになるのだが、第1段階の押し込みで照準を表示し、第2段階の半押しで弾を1発ずつ精密射撃、さらに強く押し込むと、3方向に同時に高速射撃を行う。プラズマビームを放つ武器ガラメカ「ネガトロンコライダー」は、ビーム発射前にチャージを行う必要があるが、これを押し込みの第1段階で行い、さらに強く押すことでビームが発射されるようになっているなど、武器操作の臨場感をコントローラーで体験できるのは、PS5ならではのおもしろさだろう。
2人のロンバックスと2体のメカ、1体のプログラムを代わるがわる操作
先に述べたように、プレイヤーが操作するのは主人公の「ラチェット」だけではない。異なる次元に存在するロンバックス族の「リベット」も次元崩壊から世界を救うために立ち上がる。
プレイヤーは進めるミッションに応じてラチェットとリベットを操作することになるが、それぞれ固有スキルのようなものを持っているわけではなく、武器ガラメカやレベルまで完全に共有。異なる次元の“パラレルツイン”、つまり“別次元にいる自分”のように描かれるので、操作方法までまったく同じなのだろう。
フィールドによっては、「ウォールラン」で壁を走り回ったり、「グラインドレール」に乗ってハイスピードで駆けたり、次元の割れ目「ワープテザー」を使って空間を一瞬で移動したりと、さまざまなギミックが用意されている。
物語を進めていくと、沼地を猛スピードで駆け巡る昆虫のような生き物「スピートル」や、翼竜の「トルーディ」に乗るシーンなど、目まぐるしく新しい体験が訪れるので、毎回「この次はどんなアクションが待っているのだろうか」とワクワクする気持ちになった。
そのほか、ステージの各所には「ゴールドボルト」や「スパイボット」「ローブ」「ロンバット用の装備」が隠されており、探索要素も多い。メインストーリーとは無関係のサブミッションも用意されているので、プレイヤーのコンプリート欲を刺激するだろう。
また、「次元の修復をするシーン」では、相棒の「クランク」や、別次元のクランク的存在の「キット」を操作。ここでは、ラチェットとリベットを操作しているときのような派手なアクションではなく、パズルを解くミニゲームが用意されている。
内容は、まっすぐ進むエネルギー体の進路を変えたり、ルートを整備したりして、ゴールに到達させるというもの。一つひとつはそこまで難しいパズルではないが、うまくいったときの達成感はなかなかのものだった。
さらに、もう1つ、コンピューターウイルスを退治するためのプログラム「グリッチ」も旅のお供としてラチェットたちを助けてくれる。ウイルスに侵された端末を正常に戻す場面では、クモのような見た目のグリッチを操作して、ウイルスを破壊しよう。
PS5の機能が作品の体験をアップグレード
PS5のレイトレーシングが描くグラフィックスの美しさも、本作の魅力だろう。フィールドの映像美はもちろん、豊かな表情描写でキャラクターの感情を伝えてくれるので、物語にも没入しやすい。
ロボットであるクランクの表面など、シーンに合わせて光の反射や映り込みまでリアルに表現されていることには驚かされた。
なお、ゲーム中のグラフィックは、フレームレート60fpsでレイトレーシングがオンの「パフォーマンスRT」と、フレームレート60fpsでレイトレーシングをオフにした「パフォーマンス優先」、フレームレート30fpsでレイトレーシング、ライティング改善、追加VFXなどを4K解像度で楽しめる「グラフィック優先」から選択できる。
「DualSense」の「ハプティックフィードバック」で味わえる振動体験の作り込みも見事だ。特に、武器ガラメカ「ネガトロンコライダー」を発射しているときは、吸い込まれるような振動で、思わず「うぉぉぉ」とうなりそうになる。大きめの振動がコントローラーの右側から左側に流れていき、小さく収束していくことで、レーザービームの反動を演出していた。
武器ガラメカをぶっ放すのが痛快なのは、「ハプティックフィードバック」の振動も大きく寄与しているのだろう。「武器がヒットしている」ことを両手が実感することで、爽快感が何倍にも膨れ上がるのだ。
多彩な武器ガラメカを、ハプティックフィードバックによる臨場感で痛快にぶっ放せる『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』。アクションが苦手なプレイヤーでも、気持ちよくプレイできるのではないだろうか。PS5を手に入れたら、ラチェットやリベットたちとともに、次元を超える旅に出てみては。
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