2025年6月3日から5日にかけて、米フロリダ州オーランドにて「Unreal Fest 2025」が開催されました。本イベントの基調講演である「State of Unreal 2025」では、Epic Gamesによる最先端技術が披露され、約1時間半に渡るイベントはUnreal Engineに関する革新的なアップデートやデモが続きました。その様子はYouTubeでも確認できるのですが、現地の様子を含め、どんな講演だったか、お伝えします。

  • 「Unreal Fest2025」会場

    「Unreal Fest 2025」は北米フロリダ州オーランドで開催されました

Unreal Engine 5.6のデモで幕を開ける

講演の冒頭には、ポーランドのゲームメーカーであるCD PROJEKT REDが登場。同社の看板タイトルであり、絶賛開発中の最新作『ウィッチャー4』を使用し、Unreal Engine 5.6の新機能(マルチキャラクターモーションマッチング、ナナイト フォリッジなど)が披露されました。

デモはPlayStation 5上で60fps、レイトレーシングを活用して実行され、これまで以上の高精細な画面に加え、高速読込による再現力の高さを見せつけていました。Unreal Engine 5.6がオープンワールドゲームに適した強力な機能があることを強く印象付けています。さらに馬の動きや群衆シーンの個々の人々の動きを使い、Unreal Animationのフレームワークを活用し、人と動物の自然なモーション連携を実演。

『ウィッチャー4』に拡がる世界は有機的で密度の高い森と野生の自然があります。野生の自然を再現することは難しいですが、ナナイト仮想化ジオメトリにより、従来の制限された空間からアーティストを解放しています。さらにフォリッジ(植生)によって、全域に渡って華やかな密度を実現しながらもメモリ効率を損なわず、高速でレンダリングするように取り組みました。

  • ワイス・ジョンソン氏とセバスチャン・カレンバ氏

    まずはEpic Gamesのシニアディレクターであるワイス・ジョンソン氏とCD PROJECT REDのゲームディレクターであるセバスチャン・カレンバ氏が登壇し、Unreal Engineで開発中の『ウィッチャー4』のデモ画面を見ながら解説をします

  • シリが乗馬するシーン

    『ウィッチャー4』の主人公のシリが乗馬するシーン。馬とシリがお互いの動きに反応し、まさに人馬一体の動きをみせていました

  • フォリッジによるレンダリング例1
  • フォリッジによるレンダリング例2

    ナナイトにより、密度がありながらもメモリ効率を損なわず、高速でレンダリングするフォリッジ

MetahumanはUnreal Engine 5.6内に統合されてより使いやすく

次に紹介されたのは「MetaHuman」です。MetaHumanはゲームにおけるアバター/プレイヤーキャラ作成のように顔や体型などを作成できるツールですが、その細かさと多様性の高さは他とは比較にならないほどです。これまでは早期アクセスとして使われていましたが、Unreal Engine 5.6内に統合されています。さらに、MetaHuman Animatorを使用することで、カメラの映像から人の顔や動きを認識し、MetaHumanで作成したキャラクターにリアルタイムで反映することもできるようになっています。このMetaHumanは会場でも体験することができたので、詳細はそちらのレポート記事でご紹介しています。

  • Unreal Engine 5.6に統合されたMetaHuman

    これまで早期アクセスだったMetaHumanがUnreal Engine 5.6内に統合され、より使いやすくなりました

  • MetaHumanの設定

    顔だけでなく体型なども細かく設定できます。アウトフィットを装着した場合は、体型に合わせたアウトフィットとなり、より現実的な見た目となります

  • MetaHuman Animatorのデモ

    MetaHuman Animatorのデモ。カメラで撮影した人の表情が瞬時にMetaHumanで制作したアバターに反映されています