
RMサザビーズが2025年モントレー・オークションに向け、「クアドリフォリオ・コレクション」を発表した。1960〜70年代、アルファロメオが最も輝いた時代を象徴する、アウトデルタ製の競技用モデル12台が揃う貴重なコレクションである。
目玉となるのは、1968年製アルファロメオ T33/2「デイトナ」。現存する10台のうちの1台であり、希少な2.5リッターV8エンジンを最初に搭載したファクトリー仕様のプロトタイプとされる。デイトナ、タルガ・フローリオ、ニュルブルクリンク、スパに参戦した歴史を持ち、その後アウトデルタのマルチェロ・ガンビによってレストアされた。ル・マン・クラシックやモントレー・ヒストリックスへの参加実績もあり、予想落札価格は約2億3000万〜2億7000万円(170万〜200万ドル)だ。
また、1964年製アルファロメオ ジュリアTZ-1「ダブルバブル」も注目の1台だ。著名な作家ウラジーミル・ナボコフの息子であるドミトリー・ナボコフが特注した唯一無二のダブルバブル・ルーフ仕様。ヨーロッパやオーストラリアのレースに出場し、1969年には『スポーツカー・ワールド』誌の表紙を飾るなど輝かしい経歴を誇る。過去34年間、同じコレクターが所有してきた個体で、予想価格は約9500万〜1億2200万円(70万〜90万ドル)となっている。
1961年製アルファロメオ ジュリエッタSZ「コーダ・トロンカ」は、わずか41台しか製造されなかったザガート製軽量ボディモデルのひとつ。アメリカのマルティーニ&ロッシ・レーシングチームが所有し、デイトナ、セブリング、ブリッジハンプトン、バハマ・スピード・ウィークといった北米の主要イベントに参戦した実績を持つ。長期間にわたり正確なメカニカル整備が行われ、素晴らしいコンディションを維持している。予想価格は約5400万〜6800万円(40万〜50万ドル)。
その他の注目モデルとしては、1970年製アルファロメオ 1750 GTAm(約2700万〜3400万円/20万〜25万ドル)や、1986年以来同一オーナーが所有する1966年製ジュリア スプリントGTA(約1700万〜2400万円/12.5万〜17.5万ドル)などがラインナップされている。
RMサザビーズのカー・スペシャリスト、ジェイク・オゴーマン氏は次のように述べている。
「クアドリフォリオ・コレクションは、モータースポーツ史における激しく革新的な時代を映し出す窓です。これらの車は、競うため、そして勝利するために作られたものであり、モントレー2025はそれらを披露し、新たなオーナーに託すのに完璧な舞台となるでしょう。アルファロメオは長きにわたりイタリアのエンジニアリングの基準であり、国際的なモータースポーツと深く結びついています。このコレクションに含まれるモデルは、ブランドが最も競争力を持ち、技術的に進んでいた時代を象徴しています。当時、アウトデルタは世界最高のライバルに立ち向かうためのレーシングカーを生み出していました。プロトタイプからツーリングカーまで、各車がアルファロメオのレース史とデザイン進化の重要な一章を物語っているのです」