欧州最大級のコレクターがコレクションを大放出!ヨープ・ストルゼ・クラシックカーズの「閉店」オークション

ヨーロッパ最大級のクラシックカーコレククターであり、クラシックカー販売店「ヨープ・ストルゼ・クラシックカーズ」の経営者でもある、ヨープ・ストルゼ氏が引退を決断した。趣味と実益を兼ねたクラシックカー販売店の創業は1976年。オランダ・ロッテルダム近郊の街、デ・リエーにある壮大なショールームには、500台以上のクラシックカー、そしてオートバイや自動車にまつわるメモラビリアが詰まっている。

【画像】圧巻の1000台級のコレクション!クラシックカーのショールームというよりもミュージアム(写真11点)

Google Mapsで検索してみると、まるで飛行機のハンガーのようで、ストリートビューにショールーム内の写真が複数アップロードされている。もはやショールームよりも「ミュージアム」という言葉のほうが似合っているかもしれない。もしくは、車好きのパラダイス。そんなストルゼ氏の子どもたちは事業を継ぐ予定はなく、同氏の引退とともに全コレクションを「クラシックカー・オークション」にて現在、オンライン入札を受け付け、順次締め切っている。

全車両を含め競りにかけられるのは全900アイテム… 出品リスト(膨大な出品リストは全5部)に目を通し始めると丸一日、画面にくぎ付けになってしまう。

コレクションはポルシェ911 Eモデル、完璧なコンディションのジャガーEタイプ、1970年代の保存状態の良いダットサン240Z二台など、自動車ファンなら誰もが見惚れる逸品がチラホラ。出品リストで高額落札が予想される一台は1959年式マセラティ3500 GTだろう。

なかにはちょっと”ボロ”めの車両も含まれているが、DIYでレストアを施すもよし、最近はやりのBEVコンバージョンするのも面白いかもしれない。アメリカのナンバープレートを装着した車両も散見され、1968年式マセラティ・ギブリはオリジナルではなく、シボレーのV8エンジン搭載車なんてモノもあった。

ストルゼ氏、コレクションの売却益の一部を用いて、デ・リエーに48戸の高齢者向けマンション、12戸の低価格マンション建設を計画している。ストルゼ氏自身もこのマンションの一室に住み、長年親しんだコミュニティの近くで余生を過ごす予定だという。

半世紀近く愛車たちと共に歩んできたストルゼ氏の決断は、単なる引退ではなく次世代への贈り物でもあろう。同氏のコレクションは世界中のクラシックカー愛好家の手に渡り、新たな物語を紡いでいくに違いない。

一方で地元コミュニティへの恩返しとして計画するマンション建設プロジェクトからは「モノ」だけでなく「人」を大切にするストルゼ氏の哲学が垣間見える。クラシックカーの魅力を広め続けたストルゼ氏の終活は、華やかさと実用性を兼ね備え、まさに彼らしい締めくくりと言えるのではないだろうか。

The Joop Stolze Classic Cars Company Closing Auction

Auctioned by Classic Car Auctions

https://classiccar-auctions.com/stolze/

文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)