大型スポーツバイクのエントリーモデルとしても人気のヤマハ発動機「MT-07」がモデルチェンジして登場した。注目したいのは、新たに追加となった「MT-07 Y-AMT」というモデルだ。クルマでいえば「オートマ車」のようなバイクらしいが、はたして? 実機を確認してきた。

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース

    新型「MT-07 Y-AMT」の販売価格は105.6万円だ(写真は東京モーターサイクルショー2025で撮影)

新型「MT-07」はどう進化した?

新型「MT-07」の開発コンセプトは「The Advocator of Riding Delight」。スタイリングは軽量スリムなボディとトルクフルな走りを想起させるスタイリングを継承しつつ、マシンのプロポーションやフォルムはよりナチュラルかつシンプルに洗練された。

走行性能においては、「CP2」エンジンとして電子制御スロットル「YCC-T」(Yamaha Chip Controlled Throttle)を初採用している点が大きなポイント。あわせて、吸入空気の取り込みを最適化することで、CP2エンジンのリニアなレスポンス特性をさらに引き上げているという。

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース

    走行性能の向上にあわせて、バックボーン型高張力鋼管フレームの設計も変更。強度剛性を引き上げるとともに、マシンとの一体感が増すライディングポジションへと調整した

また、YCC-T化により、好みや路面状況にあわせてエンジンの出力特性や各種電子デバイスの介入度を選択できる「YRC」(Yamaha Ride Control)、シフトダウンにも対応するクイックシフターが装備可能になった。

これらの改良により、新型MT-07は幅広い走行シーンにおいてより扱いやすいマシンに進化している。

クラッチ&シフト操作が不要?

そんな「MT-07」のバリエーションとして新たに登場したのが「MT-07 Y-AMT」だ。

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース
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  • 「MT-07 Y-AMT」はクラッチレバーとシフトレバーが存在しないスタイリングが特徴

「Y-AMT」はクラッチ&シフト操作をアクチュエーターに代行させるシステムだ。つまり、このシステムを使えばバイクをオートマ化できる。Y-AMT搭載モデルの第1弾は「MT-09 Y-AMT」の2024年モデルで、今回の「MT-07 Y-AMT」が第2弾となる。

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース
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  • Y-AMT搭載モデルの第1弾「MT-09 Y-AMT」。2025年モデルではカラーバリエーションに「マットライトグレー」が加わる(写真は継続採用となるブルー)。販売価格は136.4万円だ

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース

    ECUとMCUの最適な制御によって、すばやいギアチェンジと変速ショックの低減を両立する「Y-AMT」。ライダーの意思に沿った小気味よくて自然な変速フィーリングを実現できたという。ヤマハブースにはカットエンジンも展示されていた

「MT-07 Y-AMT」には「MTモード」と「ATモード」の2つのモードが備わる。モードはハンドル右側の「AT/MTスイッチ」で切り替える。

MTモードでは、ハンドル左側のシーソー式シフトレバーを操作してシフトチェンジを行うのだが、操作自体はワンタッチで可能だ。また、アクセルを開けたままの状態で操作できるなど、シフトチェンジが簡略化されている。

一方のATモードでは、そもそもシフトチェンジをライダー自身でする必要がない。そのため、より走りに集中しながらスポーツライディングを楽しめるというわけだ。

Y-AMT第3弾は「トレーサー9 GTプラス」

第2弾の「MT-07 Y-AMT」が発売されたばかりだが、ヤマハは今夏以降に発売するスポーツツアラー「トレーサー9 GTプラス」にもY-AMT搭載モデルを投入する方針だ。

  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース
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  • 「東京モーターサイクルショー2025」のヤマハ発動機ブース
  • ヤマハが「東京モーターサイクルショー2025」で参考出展した「トレーサー9 GTプラス Y-AMT」

「トレーサー9 GTプラス」はロングツーリングを目的とするバイクだけに、シフトチェンジから解放される「Y-AMT」との相性の良さは言わずもがなだろう。

また、こうした傾向からも、ヤマハがY-AMT搭載モデルのラインアップ拡充を狙っているのは間違いなさそうだ。今後はどのモデルに追加するのか、注目しておきたい。