米シーラス・ロジック(Cirrus Logic)は日本時間6月5日、PC向けに最適化したプレミアム・オーディオ・ソリューションとして、スマート・アンプ「CS35L56」と、低電力な「CS42L43 SmartHIFI」PCオーディオコーデックを発表。いずれもサンプルを出荷しており、2023年中の量産開始をめざす。

  • シーラス・ロジックのPC向けプレミアム・オーディオ・ソリューションの概要

新しいオーディオ・ソリューションでは、ノートPCの内蔵スピーカーやヘッドホンで音声通話や音楽を聴くときに、より大きな音量で没入感の高いオーディオ体験を追求。さらに、PCメーカー側の設計を簡素化することで部品数を削減でき、基板スペースの節約や部品コストの低減に寄与する。

スマート・アンプのCS35L56は、55nmプロセス技術で製造。オンボードDSP、センシング・ハードウェア、ノートPCバッテリー電圧ブースト、エンハンスメントと保護アルゴリズムを搭載し、「音のガサツキや振動を最小限に抑えながら、音量の最大化と音質の向上、安定性」を提供するという。

360度回転や着脱式2in1、折り畳みといった新たなフォームファクターにおいてもスピーカー性能を損なわず、最大限の性能を引き出せるように設計。超薄型ノートPCの小型スピーカーでも深みのある低音や、バランスのとれたサウンド、広いダイナミックレンジの豊かなオーディオを実現できるよう、PCメーカーを支援する。

CS42L43は、明瞭な音声や高いダイナミックレンジ、低ひずみによって、ヘッドセット利用時の「最高レベルのオーディオ体験」の提供をめざすPCオーディオコーデック。13ミリ平方メートルのチップスケールパッケージ(CSP)で提供し、競合製品と比べて50%以上の小型化を実現。低コストで無駄のない設計を可能にするという。

一般的に、ヘッドホンは製品によって音響特性が大きく異なるため、PCメーカーにはヘッドホンの種類を考慮した設計が求められる。同じノートPCであっても、使うヘッドホンによってサウンドが違って聞こえる可能性があるためだが、同コーデックでは異なる種類のヘッドホンであっても「原音に忠実で、一貫したプレミアムなオーディオ音質」を提供できるとする。他のソリューションと比べて消費電力を50%抑え、PCバッテリーの寿命を延ばすことにも寄与する。

新しいオーディオソリューションでは、ストレスフリーなPCオーディオ設計も追求。新しいSoundWireインターフェース(v1.2)に対応するほか、CS35L56 スマート・アンプはSoundWire Device Class Audio(SDCA)マネージャーと容易に統合でき、MicrosoftのACXフレームワーク上での作業が可能とする。

各種プロセッサに対応し、スピーカーの数も問わないといった柔軟性と拡張性を兼ね備えるほか、CS42L43 コーデックと組み合わせる CS35L56 アンプの個数を選べるため、PCメーカーは性能と価格帯に応じてソリューションを拡張できるとのこと。