パナソニック サイクルテックは、業界最軽量(同社調べ)となる電動アシスト自転車用サイクルユニット「カルパワードライブユニット」と、このユニットを搭載したショッピングモデルの電動アシスト自転車「ビビ・SL(BE-FSL431)」(以下、ビビ・SL)を発表しました。

ビビ・SLの大きな特徴は本体の重さ。20kgを切っており(19.9kg)、ショッピングモデルの電動アシスト自転車としては業界最軽量(同社調べ)となります。発売日は12月3日で、メーカー希望小売価格は125,000円です。

  • 新製品のプレス向けお披露目会場に展示された新製品「ビビ・SL(BE-FSL431)」とマイナビニュース・デジタルの林編集長

業界最軽量の2軸ドライブユニット「カルパワードライブユニット」

ビビ・SLが19.9kgという車体重量を実現できた理由のひとつは、電動アシスト自転車の心臓部ともいえるドライブユニットの軽量化に成功したこと。新開発のカルパワードライブユニットは素材や部品、設計を見直し、基板のアナログ回路を減らしてデジタル方式を多くすることで部品点数を削減。これにより、従来モデルと比較すると約24%(重量換算すで約900g)軽量化し、約2.8kgを実現しています。

一般的に、スポーツタイプのアシスト自転車には1軸モーター(ダイレクトドライブ)、通勤・通学・ショッピングモデルのアシスト自転車には2軸モーターのドライブユニットが採用されます。カルパワードライブユニットは、この2軸モーターとしては業界最軽量(同社調べ)の軽さです。

  • 新しく開発されたカルパワードライブユニット

  • 新製品ビビ・SLに搭載されたカルパワードライブユニット。2軸モーターは、ギヤクランクから離れた位置にモーターの駆動力を伝えるギアが配置されています

カルパワードライブユニットは、軽量化のほかにもアシストパワー制御が進化しています。電動アシスト自転車は、こぎ出し時にアシストが効き過ぎて急発進してしまうことがまれにありますが(ペダルを踏む力も影響します)、アシスト制御の調整によってスムースなスタートを実現。また、いままでのドライブユニットでは長い登坂時にアシストパワーが安定しないことがありましたが、このアシストがスムースかつパワフルになっています。さらに、時速15km前後の中速域におけるアシストの伸びを改善し、走りの心地よさも高めたといいます。

  • 軽さの追求だけではなく、アシスト制御も改善。従来モデルよりも自然で心地よい走りができるとしています

業界最軽量のショッピングモデル電動アシスト自転車「ビビ・SL」

新ドライブユニットの発表とともに、この新ユニットを搭載した複数の電動アシスト自転車が発表されました。注目はタイヤサイズが24型・26型でフロントバスケット、リヤキャリヤ、両立スタンドを標準装備したショッピングモデルの「ビビ・SL」です。

  • 車体の重さがだいたい25kg以上というのが一般的なショッピングモデルの電動アシスト自転車のなかで、19.9kgを実現したビビ・SL。電動アシストではない自転車でも、いわゆる「ママチャリ」やシティサイクルは17kg~19kgほどあります

  • 車体を軽量化することで、駐輪ラックへの持ち上げやスロープの押し歩きが楽に。こぎ出しの負担も減っています

ビビ・SLは新ドライブユニットだけではなく、さまざまなパーツの改良で軽量化されています。たとえば、アルミ製の本体フレームは従来の2重構造体から卵型フレームに変更。さらにフレームの必要な部分にのみ十分な肉厚を確保することで、強度も確保しています。

  • フレームを軽量化しただけではなく、サドルの高さを従来モデルより約5cm低くし(最低地上高67cm)、足つきも良くなっています。シートの角度を従来モデルより寝かせてサドルの位置を後退させたことで、こぐときに膝の曲げ伸ばしがスムースになり、膝への負担も軽くなっているそうです

  • 2022年2月発売予定のビビ・L。新ドライブユニットを搭載していますが、フレーム形状は既存モデルを継承。車体重量は22kgとビビ・SLより重くなっています

もうひとつの軽量化ポイントはバスケット。バスケット側面の編み目を減らし、底面は編み目を細かくして小物が落ちにくいデザインとしてました。編み目を減らしつつ剛性をキープするため、カーボンを配合した特殊素材を採用しています。従来製品と比べて175gの軽量化を実現しました。

  • カーボンを配合した素材の新しい軽量バスケット。軽量化と剛性を両立させるためか、残念ながら少々チープさを感じるテクスチャーです

パナソニックいわく、新型のカルパワードライブユニットは軽さだけでなく走り心地の良さも魅力。今後は順次、カルパワードライブユニット搭載モデルを増やしていく予定とのことです。

ショッピングモデルのビビシリーズのほか、より長距離運転に向いた通勤・通学モデルのティモシリーズからは「ティモ・A」、子乗せ電動アシスト自転車のギュット・クルームシリーズでは「ギュット・クルームR・DX」「ギュット・クルームR・EX」が、2021年内に発売されるカルパワードライブユニット搭載モデルとなります。

  • カルパワードライブユニットを搭載した新製品。手前からビビ・SL、ビビ・L、ティモ・A、ギュット・クルームR・DX、ギュット・クルームR・EX。ビビ・Lのみ2022年2月4日発売、ほかはすべて12月3日発売予定です

  • 通勤・通学モデルのティモ・A。ビビシリーズよりも太めのタイヤと高い剛性のフレームで長距離運転しやすい仕様。カバンを入れやすい幅広バスケットもポイント

  • 子乗せ電動アシスト自転車のギュット・クルームはCombiと共同開発した衝撃吸収素材を採用したチャイルドシートが特徴。写真は最上位モデルのギュット・クルームR・EXで、カギを手に持たずにロック解除できる「ラクイック」機能が便利