パナソニック サイクルテックは、スポーツタイプの電動アシストクロスバイク「XU1」(品番:BE-EXU244)を発表しました。同社は東京2020オリンピックの自転車競技「ケイリン」のペースメーカーとなる先導車を開発・納入していますが、今回のXU1は、この先導車の開発で得られた知見をフィードバックしているのが特徴です。発売日は女子ケイリン決勝戦がある8月5日。メーカー希望小売価格は251,000円です。
自転車競技のケイリン先導車と市販の一般向けe-BIKE、その違いは?
ケイリンとは、すり鉢状の走行路を周回する自転車トラックレース。レース開始時点から時速約50km前後までは先導車(ペーサー)が先頭を走り、ペースメーカーとなるのがルールです。
ケイリン先導車の特徴は、アシストスピードの範囲が広いこと。市販の電動アシスト自転車は時速24km以上になるとアシストをカットする必要がありますが(道路交通法)、ケイリン先導車は約50km/時までアシストが必要です。
さらに、ケイリン先導車は高速で走行するときも決められたラインを正確に走る必要があるため、高速&アシスト有効でも高い安定性が求められます。そこでパナソニックは、高速アシスト時も車体が安定する低重心構造のフレームを開発しました。
さらに、ケイリン先導車は半周ごとに加速するスピードが厳密に決められています。先頭選手は先導車の後ろにピッタリと張り付くルールなので、急加速や急減速で選手のペースを乱すわけにはいきません。開発段階でパナソニックは、滑らかで自然な加速を実現するため実際に開発車両の後ろから選手に走ってもらい、意見を取り入れつつアシスト制御を調整したそうです。
今回の新モデル「XU1」は、ケイリン先導車の開発を通じて得られたノウハウから、「走行安定性」や「アシストによる滑らかな加速」を取り入れているのが特徴です。
先導車譲りの安定走行と滑らかアシスト、街乗りに便利なアクセサリーも標準装備
XU1は、ケイリン先導車の「アシストしたときの安定性」と「アシスト時でも滑らかな加速」を受け継いでいます。ただし、先導車のフレームデザインなどをそのまま転用したわけではなく、街乗りしやすいようにさまざまな改良を加えているそうです。
ドライブユニットには、従来モデルと同じくダイレクトドライブ機構を採用。ペダルを踏み込んだ力が直接駆動部に伝わるため、スポーツ用e-BIKEによく使われる機構です。アシストは時速24kmが上限ですが、ケイリン先導車の開発で得たデータをもとに、アシスト時でも滑らかな加速が可能としています。
今回は残念ながら実際に運転することはできませんでしたが、パナソニックによると従来よりも安定してマイルドな走行性能なので、スポーツ自転車になじみのないユーザーも安心して乗れるほか、長距離のライドでも疲れにくい乗り心地とのこと。
また、多くのスポーツタイプe-BIKEはスタンドやライトなどが別売りですが、XU1はスタンドやリアキャリア、泥よけ、ライト、リフレクター、ロック(ディンプルキー)など、公道を走るのに必要な装備が標準付属しています。「これから自転車通勤したい」「ママチャリじゃなくて、カッコイイ自転車を日常的に使いたい」という人にもうれしい内容ですね。