『いかレスラー』『かにゴールキーパー』『ヅラ刑事』『日本以外全部沈没』『大怪獣モノ』などユニークすぎる娯楽映画を連発し、熱き「特撮魂」と「お笑い魂」をぶつけて作品を作り続ける"バカ映画の巨匠"こと河崎実監督は、新型コロナ禍で世界全体が大変な時期にあっても常に笑顔と元気を絶やさずに、また新たな"どうかしている"映画作品を生み出すべく意欲を燃やしている。

  • 「バカ映画の巨匠 監督 河崎実」と襟に書かれた特製の法被を着て、得意のポーズを決める河崎実監督

6月から劇場公開され大好評を博した『三大怪獣グルメ』に続き、9月4日からは破天荒な特撮ラブコメ映画『メグ・ライオン』の公開が控え、ますます絶好調の河崎監督。現在東急ハンズ渋谷店では、河崎監督の40年以上にわたる映画人生において生み出してきたさまざまなキャラクター、アイテムなどをズラリと並べた展示イベント「帰ってきた河崎実展 in 東急ハンズ渋谷」がB2Cフロアにて開催中である(19日まで)。

東急ハンズで河崎監督のイベントが開かれるのは、2018年に催された「還暦記念! B級映画の巨匠 河崎実展」以来2年ぶり。この2年の間に河崎監督が作り出した新しいキャラクターやアイテムもしっかり展示されている。ここからは、河崎監督のファンなら絶対に見ておきたい、貴重な展示アイテムをいくつかご紹介していこう。

  • 「帰ってきた河崎実展 in 東急ハンズ渋谷」案内ポスター。吉田照美サイン会や、新作『電エースハウス』エキストラ撮影会の告知も行われている

「帰ってきた河崎実展」会場の概観。河崎監督がこれまでに作った作品の貴重な小道具類が展示されたスペースと、『電エース』シリーズなどのDVD、CD、関連グッズの物販コーナーで構成されている。

  • 1983年、河崎監督がアマチュア時代に製作した8㎜特撮映画の伝説的名作『エスパレイザー』DVDジャケット(2018年発売/著者私物)

『エスパレイザー』シナリオ。河崎監督のウルトラシリーズへの強い憧れをうかがわせる「空想特撮シリーズ」の文字に注目である。

  • 河崎監督がプロデビューを果たした記念すべき作品『地球防衛少女イコちゃん』(1987年)と、後続する『イコちゃん』シリーズを集めた『地球防衛少女イコちゃんCOMPLETE DVD』ジャケット(著者私物)。『イコちゃん2』からは『ウルトラマン』『怪奇大作戦』などで異色作・傑作を連発した鬼才・実相寺昭雄監督が「監修」を務めることになった

『イコちゃん2』で主人公の菅川イコを演じる増田未亜が着ていた地球防衛軍LTDTの制服。

『イコちゃん2』で使用された「スーパーインカム」の小道具。マイクに向かって「お願い」をすると、どんなことでも叶うという不思議な機能が備わっている……という設定。

  • 『コアラ課長』DVDジャケット(著者私物)。『いかレスラー』(2004年)の好評を受けて製作された「動物シリーズ」の一本。ホラー映画タッチの「サイコアラ・ホラー」と銘打たれた

展示イベントには初めての登場となる、貴重な『コアラ課長』の頭部。

  • 松竹映画が怪獣ブームに乗って送り出した『宇宙大怪獣ギララ』(1967年)を大胆な発想で"復活"させた『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』(2008年)DVDジャケット(著者私物)。豪華キャストによる予測不能の怪獣スペクタクル映画。不死身のギララを倒すべく、各国首脳が次々と珍作戦を提案する作劇は、実相寺監督の『ウルトラマン』第34話「空の贈り物」を彷彿とさせる

映画の完成を記念して、ギララの造型を手がけた品田冬樹氏より河崎監督に寄贈された「ギララの切株(切断面)胴体側」。

『ギララの逆襲』で、村人の祈りに応えて現代に甦った「タケ魔人」の頭部。声をビートたけしが演じたことでも話題となった。

  • 『地球防衛未亡人』(2014年)DVDジャケット(著者私物)。壇蜜が主演し、「SF」「特撮」「エロス」が混在することで笑いを生み出す作品となった

『地球防衛未亡人』でダン隊員を演じる壇蜜が着用していた、地球防衛軍JAPの制服。

  • 1989年に第1作が発表されて以来、河崎監督のライフワークとして30年以上にわたって新作が作られている『電エース』シリーズの現時点での最新作『電エースキック』(2019年)DVDジャケット(著者私物)。2020年には『電エースハウス』が完成予定である

左は電エースのマスク。右は『アウターマン』(2015年)の敵役・アウターマン星人のマスク。

電エースマスクは、『エスパレイザー』で初使用したものにリペイントを繰り返して、30年以上も現役で使い続けている凄いマスクである。

電エースが怪獣と戦うときに使用する「電カッター」。ネビュラ71から地球へやってきた超能力のサイボーグが用いる武器を思わせる渋味とカッコ良さがある。

『電エースキック』クラウドファンディングのリターン品になった電エースフィギュア(キャスト製)を、河崎監督用として「金」バージョンにした特製品。

人気作『いかレスラー』(2004年)の劇中で使用された、しゃこボクサー(左)、たこレスラー(中)、いかレスラー(右)のリアルな人形たち。

展示物ショーケースの向かい側では、特製「電エースジュエリー」の販売スペースも用意されている。

9月に公開予定の『メグ・ライオン』最新チラシ。河崎監督が贈る本格ラブコメ映画として話題を呼んでいる本作は、日本橋三越本店の2019年新春「福袋」企画として製作された。主演を務める長谷摩美は福袋を購入した一般の女性で、『三大怪獣グルメ』にも出演を果たしている。

『メグ・ライオン』から2つのキャラクター(頭部)が早々と展示されている。野性味がありながら気品にも満ちているメグ・ライオンと、鋭い牙をむいたどう猛さが印象的なウルトラタイガー星人が、映画でどのような活躍をするのだろうか。期待はふくらむばかりだ。

  • 『三大怪獣グルメ』パンフレット表紙と特製ポストカード(著者私物)。東京湾から出現したイカラ、タッコラ、カニーラに、シーフードモンスターアタックチーム(SMAT)が挑む。河崎監督によれば、SMATがジープ2台のみで三大怪獣に悲壮な戦いに挑むさまは『帰ってきたウルトラマン』(1971年/円谷プロ)のMATチームが発想のベースとなっている

会場内に特設された「吉田照美コーナー」の手前に展示されている『三大怪獣グルメ』のイカラ(実物)の上半身。なんと、実際にイカラの体表に触れてもOKとのことなので、ぜひとも海鮮怪獣の質感がどのようなものなのか、実際に触って確かめてほしい。

  • ラジオパーソナリティーとして絶大な人気を誇る吉田照美が主演を務めた『ロバマン』(2019年)DVDジャケット(著者私物)。吉田のニックネームである「ロバ」にちなんだロバマンこと吉村幸三(68歳)が、ラーメン屋の割り込み客からセクハラ上司、パワハラ上司、腐敗にまみれる政治家、侵略宇宙人まであらゆる「悪」に鉄拳制裁を加える、痛快アクションが見どころとなった

画家としても活動する吉田照美のコーナー。展示の額装イラストは販売も行っている。

撮影で実際に使用されたロバマンのヘルメットとボディ部分。こちらは「手を触れないでください」と断り書きが貼られている。

イカラスーツの隣で気さくな笑顔をたたえる河崎監督。会場にはモニター画面に顔をかざすだけで体温を検知できる検温機や、消毒用アルコールが完備され、新型コロナ感染対策に細心の注意を払っている。来場の際はソーシャルディスタンスに気をつけつつ、いろいろな展示物をじっくり観てもらいたいところだ。

「帰ってきた河崎実展 in東急ハンズ渋谷」は7月19日まで「B2Cフロア」にて開催(最終日18:30まで)。『ロバマン』主演の吉田照美によるサイン会が12日に行われ、河崎監督の新作『電エースハウス』のエキストラ撮影会が同じく12日と19日に催される予定。いずれも予約制のイベントであり、参加希望者は会期中にB2Cフロアレジにて「整理券」の購入が必要。整理券は先着順で、定員になり次第終了となるのでくれぐれもご注意していただきたい。