ファーウェイが発表した最新フラッグシップスマートフォン「P40」シリーズ。前回は、P40シリーズ中核モデルとなる「P40 Pro」の外観を中心に紹介したが、今回は最大の特徴となるP40 Proのカメラ機能を見ていく(2020年4月末の時点で日本発売は未定)。

1/1.28型の大型センサー採用、さらなる進化を遂げたメインカメラ

  • 5Gスマホ「HUAWEI P40 Pro」

    P40 Proのメインカメラは超広角レンズ、広角レンズ、5倍望遠レンズ、深度計測カメラの4眼仕様

Pシリーズ最大の特徴は、なんといってもカメラ機能だろう。2016年に登場した「P9」シリーズから、ドイツのカメラブランド「Leica」(ライカ)との協業を開始。以降、複数のレンズを搭載したり、AI処理を進化させたりと、Pシリーズのカメラ機能は大きくグレードアップしてきた。そしてP40シリーズのカメラでも、従来モデルからさらなる進化を遂げている。

P40シリーズの中で、カメラ機能が特に大きく進化しているのは、最上位モデルとなるP40 Pro+だ。P40 Pro+のメインカメラは、超広角レンズ、広角レンズ、3倍望遠レンズ、10倍望遠レンズ、深度計測カメラという5眼仕様となっている。Pシリーズの5眼仕様は、今回のP40 Pro+が初だ。

それに対し、今回試用した中位モデルのP40 Proのメインカメラは、超広角レンズ、広角レンズ、5倍望遠レンズ、深度計測カメラの4眼仕様。この組み合わせは、従来モデルのP30 Proと同じだが、各レンズに搭載されている撮像素子が強化されている。カメラの並びは縦位置で、左上から下に向かって、超広角レンズ、広角レンズ、5倍望遠レンズ、その右に深度計測カメラやLEDフラッシュ、レーザーセンサーや色温度センサーなどが並ぶ。

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    縦方向で見ると、左上から下に向かって超広角レンズ、広角レンズ、5倍望遠レンズが並び、右側にはLEDフラッシュと色温度センサー、その下に深度計測カメラがある

焦点距離が23mm、F値1.9、光学手ブレ補正対応の広角レンズには、スマートフォンとして最大となる1/1.28型の大型センサーを採用した。画素数は5,000万画素だ。また、P30シリーズで初採用となったRYYB仕様も受け継いでいる。P30 Proでは、4,000万画素の1/1.7型RYYBセンサーだったため、センサーサイズ、画素数ともに強化された。

そのほか、8ピクセルを利用したオートフォーカス(AF)システム「Octa PD AF」機能も新たに搭載。デュアルピクセルAFの4倍となる8個のピクセルを活用することで、低照度(暗い)環境でも高速なAFを可能にしているという。

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    広角レンズには1/1.28型の大型5,000万画素センサーを採用。P30シリーズ同様のRYYB仕様でもある

焦点距離が18mm、F値1.8の超広角レンズには、1/1.54型の4,000万画素センサーを採用。P30 Proと比べて画素数が倍になるだけでなく、センサーサイズも大型化しており、こちらも大きく強化されている。

この超広角レンズカメラは「Ultra Wice Cine Camera」と呼ばれ、動画撮影機能も向上している。4K60p動画、4K HDR動画の撮影に加えて、4×4の16ピクセルを1ピクセルとして利用するとともに、ISO感度最大51,200の超高感度動画撮影に対応することで、低照度環境での動画撮影性能がアップした。また、本体に内蔵する3つのマイクを活用して、ズーム操作に合わせて音もズームする「Directional Audio Zoom」機能も搭載している。

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    超広角レンズのセンサーでは、4×4の16ピクセルを1ピクセルとして利用しつつ、ISO感度最大51,200という超高感度の動画撮影に対応

焦点距離が125mm、F値3.4、光学手ブレ補正対応の5倍望遠レンズには、1,200万画素センサーを採用。こちらのセンサーサイズは未公開ながら、P30 Proの800万画素から高画素化している。なお、5倍望遠レンズはP30 Pro同様に、光を90度屈折させてセンサーに届ける屈曲光学系レンズ(いわゆるペリスコープレンズ)だ。望遠撮影機能は、5倍から10倍までは撮影に使うセンサーの面積を狭めていくハイブリッドズーム、10倍以降はデジタルズームを組み合わせた最大50倍だ。

ディスプレイ面に搭載されるインカメラは、3,200万画素センサーという点はP30と同様だが、インカメラもAFと4K動画撮影に対応している。インカメラの横には3D顔認証にも使われる赤外線3Dカメラも装備。これにより、3D顔認証とディスプレイ埋め込み型指紋認証センサーという、2種類の生体認証が利用可能となり、利便性が高まっている。

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    インカメラはディスプレイ左上のパンチホール内に配置。パンチホールはやや大きく目立つ

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    3,200万画素センサーを採用。横には3D顔認証にも利用する赤外線3Dカメラ

最適カット推奨機能や、背景に映り込む人の消去といった新機能

Pシリーズのカメラ機能は、独ライカとの協業だけでなく、シーン認識や夜景モードなどといった多彩なAI撮影モードも特徴のひとつ。以前ほどAIというキーワードを強くアピールすることはなくなってきているが、P40 ProにもさまざまなAI撮影モードが用意されている。

例えば、自動シーン認識、夜景モード、顔認識、ビューティーモード、背景をぼかすアパーチャモードなどは引き続き搭載。そのうえで、いくつか新機能を追加しており、そのひとつが「AI Golden Snap」というものだ。

AI Golden Snapでは、動いている人物などを撮影するとき、連続撮影したカットの中から最良のカットを推奨してくれる「AI Best Moment」や、背景に映り込んでいる人を消す「Remove passersby」、ガラス面などへの映り込みを消す「Remove reflection」といった機能が用意されている。Remove passersbyやRemove reflectionは、撮影後の編集で実現しているようだが、いずれも便利に使えそうな機能だ。

残念ながらこのAI Golden Snapは4月末の時点でもまだ実装されておらず、今回は実際に試せなかった。ファーウェイに問い合わせたところ、今後のバージョンアップで対応予定とのことだったが、P40 Proのカメラ機能でも目玉的な存在であり、試せなかったのは残念だった。

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    動いている人物などを撮影する場合に、連続撮影したカットの中から最良のカットを推奨してくれる「AI Best Moment」など、新たな撮影機能も搭載