• 今年2019年の4月から6月の間に、OPPOの強力な次世代端末が発表されることが記者会見で明らかになりました

2月25日に開幕する世界最大の携帯通信関連の展示会「MWC19 Barcelona」に時期を合わせて、OPPOがスペイン・バルセロナで記者会見を開催。独自の光学技術によるロスレス10倍ズームを実現する新たなトリプルレンズカメラや、第5世代の移動通信「5G」に対応するスマートフォンを、2019年第2四半期に発売することを宣言しました。

広角から望遠まで自由自在に切り替わるトリプルレンズ

OPPOが開発中のスマホ向けトリプルカメラユニットの技術については、2019年1月中旬に北京で技術発表が行われ、MWCで新製品のお披露目があるとアナウンスされていました。ところが残念ながら今回のイベントでは新スマホの実機は展示されず、プロトタイプによる技術展示までとなりました。

  • 記者会見に展示されたトリプルレンズカメラを搭載したスマホの試作機(同社の6.01型スマートフォン「OPPO R11s」がベース)。ズーム撮影を試すことができました

同社が開発を進めるトリプルレンズカメラモジュールの特徴は、薄く軽量なスマホにも搭載できるフットプリント(占有体積)を実現しながら、レンズなどの光学技術によって最大10倍のロスレス高画質ズームが実現できるところにあります。記者会見の壇上でOPPOのプロダクトマネージャー、CHUCK WANG氏がその詳細を説明しました。

「潜望鏡」の仕組みで最大10倍ズームを実現

トリプルカメラはプライマリの「超クリアマスター」と呼ばれるレンズをトップに配置し、その下に超広角/超望遠の画角をカバーするユニットが並んでいます。

  • 3つのレンズユニットが一列に並んでいます

  • 上から標準画角のプライマリ、広角、望遠という配列

広角レンズは約16mm、望遠レンズは約160mmの焦点距離をそれぞれカバーしており、標準の焦点距離をカバーするプライマリのレンズと合わせてリレー方式で協調動作しながら最大10倍までの8MPロスレスズーム撮影を可能にします。

  • 3つのレンズが互いにカバーする画角をリレーしながらワイド・ズーム各端に及ぶ高精細な画像を結びます

カメラユニットは薄型化を図るため、特殊な形状に面取りしたDカットレンズを含む多層構造のレンズを通過した光が、プリズムに反射して90度の方向に屈折してイメージセンサーに到達する「ペリスコープ構造」を採用しています。

ペリスコープとは潜望鏡のこと。海に潜る潜水艦の甲板からにょきっと出ているアレのことですね。同じように横方向に配置したレンズセットと光の屈折を利用して、スマートフォン内部のスペースを最大限に有効活用しているわけです。

  • 多層構成のレンズユニットを通過した光がプリズムユニットに反射してイメージセンサーに送り込まれます

  • 特殊な形状に加工したDカットレンズがユニットの薄型化に貢献しています

レンズからの入射光をプリズムで屈折させて撮像する技術自体はアナログカメラの頃からある成熟した技術ですが、ポータブルデバイスであるスマホに搭載するとなると、スマホを落とした時にプリズムが割れて写真が撮れない、なんてことが起きないか不安になります。OPPOではプリズム部分の落下テストを入念に行いながら、製品に搭載できるレベルにまで信頼度を高めるための検証も徹底的に行なっているそうです。

標準・望遠カメラの両方に光学手ブレ補正も

記者会見の会場には開発中のトリプルレンズユニットを乗せたスマホの試作機が並べられ、テストシュートを行うことができました。

まだ一部動作が完璧ではないところもありましたが、ズームレンズで撮影する時に気になる“手ブレ”が、光学補正機構によってしっかりと抑えられる実用性の高さは垣間見えました。OPPOのトリプルレンズカメラは、標準と望遠の両方のユニットに光学手ブレ補正機構を積むDual OIS仕様となるそうです。

OPPOのスマホといえば、スライド式のステルス3Dカメラを搭載するフラグシップの「Find X」など、カメラの個性的な仕様が日本国内でも注目されているだけに、今度のトリプルレンズカメラを搭載するモデルもファンをあっと驚かせてくれることを期待したいものです。

  • 同社がロスレスズームと呼ぶ高画質イメージングのサンプルも壇上で紹介されました

5G通信にもいち早く対応を予告

なお、今回2019年の第2四半期に発売されることがアナウンスされたOPPOの最新端末には、クアルコムの最新モバイル向けSoCである「Snapdragon 855 Mobile Platform」と5G対応のモデムが搭載されることになりそうです。

記者会見には米クアルコムのクリスティアーノ・アモン氏もゲストスピーカーとして登壇して、「クアルコムの良きパートナーであるOPPOが、当社のソリューションを採用した5G対応スマホをいち早く商品化することをとても嬉しく思う。5G is here(5Gがやってきた)」と熱いコメントを寄せていました。

  • クアルコムのアモン社長が「5G in here」Tシャツを着てOPPOの応援ゲストとして登壇

おそらく今回の記者会見で言及されたOPPOの次世代の新スマホは「トリプルレンズカメラ搭載+5G対応」というキレキレの仕様で登場することになりそうです。

ただ、5Gの商用サービスが2019年から始まる国・エリアは世界の一部地域に限定されています。日本の通信キャリアについてはスタートできる見通しを2020年と発表しているので、OPPOの次世代モデルが5Gについてもそのままの形で日本に上陸するのかは様子を見る必要があります。

なお、イベントには5Gを推進するOPPOの通信キャリアのパートナーとしてスイスコム、テルストラ(豪)、オプタス(豪州)、シンガポール・テレコムの代表がステージに上がり5G時代の到来を宣言するセレモニーを行っていました。

  • OPPOの端末でコンシューマ向けの5Gサービスを展開するキャリアとして4社の名前が上がりました

そして記者会見の時点ではOPPOが予告している5Gスマホがミリ波帯による通信にも対応するものなのかが明らかになっていません。クアルコムのプラットフォーム側がミリ波帯対応のスマホを実現するために積極的に取り組んできただけに、おそらくは投入される地域のインフラ側次第で対応が決まることになるのだろうと思いますが、本件については続報に要注目です。

OPPO独自のAIアシスタントも開発中

実は本日のOPPOの記者会見ではもう一つ、壇上で繰り返し述べられていたキーワードがありました。同社独自のAIアシスタント「Breeno AI」です。どうやらOPPOは今後、こちらのBreeno AIを中核としたスマートIoTデバイスのエコシステム構築にも積極的に乗り出してきそうです。

同社の研究施設の責任者であるDirector of Standards ResearchのHenry Tang氏は、今後Breeno AIに対応するIoTデバイスの開発についても壇上で言及していました。

既にグーグルやアマゾン、アップルにサムスンやLGエレクトロニクスなど大手競合がひしめき合うAI市場にもまた、OPPOが個性的な変化球を武器に闘いを挑むことになるのでしょうか。今年の第2四半期=4月〜6月はOPPOから目が離せなくなるかもしれません。

  • OPPOが独自に開発するAIアシスタント「Breeno AI」。どんなエコシステムがつくられるのでしょうか