日立キャピタルと日立製作所(以下、日立)は27日、日立キャピタルNBLの中小企業向け小口融資審査業務の効率向上に向け、日立が開発した人工知能技術「Hitachi AI Technology/H」(以下、AT/H)を用いた実証実験を実施し、自動審査可能な件数を約9割まで向上できる効果を確認したことを発表した。

日立キャピタルグループでは、積極的なIT投資によるフロント機能の強化や業務の簡素化および標準化などの施策と、これらを通じた働き方改革を推進している。その一環として今回、審査回答の迅速化などベンダーへのサービス品質の向上や業務効率化を目指し、AT/Hによる小口融資審査の自動化率向上に向けた実証実験を行った。

AT/Hは、ビジネスに関連するあらゆるデータを網羅的に分析し、売上やコスト、業務の達成度など組織が求めるKPIとの相関性が強い要素と、KPIを改善する施策の仮説を効率的に導き出す人工知能であり、大量かつ複雑なデータ分析を得意としている。

2018年5月〜8月に実施された実証実験では、過去数年分の審査情報や関連する信用情報などのデータと回収結果との相関関係をAT/Hにより分析することで、融資可能と判断できる条件の組み合わせを導き出し、与信の自動判断が可能な範囲を拡大するための独自のスコアリングモデル式を構築した。このスコアリングモデル式により融資可否のしきい値を算出することで、自動審査可能な案件数を大幅に増やすことができる。

これらを通じて、これまで審査の自動化が難しく人手により個別判断をしていた案件の自動化を実現し、全体案件数のうち自動審査可能な割合を、これまでの約7割から約9割まで向上できたことを確認したということだ。