トヨタ自動車は3月2日、自動運転技術の先行開発分野での技術開発を促進するために新会社として「Toyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)」を3月下旬までに、東京に設立することを決定した。出資金は5000万円で比率はトヨタが90%、アイシンが5%、デンソーが5%。

新会社のCEOには、Toyota Research Institute(TRI)のChief Technology Officerを務めるジェームス・カフナー氏が就任し、新規採用に加え、トヨタ、TRI、アイシン、デンソーのメンバーも含め、1000人規模(発足時は300人)の体制することを目標としている。

現在、新会社の活動拠点として、アクセスや採用面で魅力のある新たなロケーションを選定しており、新会社で英語を社内公用語にすることも含め、仕事の進め方や社内ルールなども新たに構築し、次の世代の1つのモデルケースとすることを目指す。

自動運転はLidar(LIght Detection And Ranging:レーザー光線を用いて、周辺環境の立体的な様子を捉える技術、または機器)などの新たなセンシングデバイス、ディープラーニング技術を用いた認識、判断性能の向上やOTA(Over The Air:無線通信を経由して、ソフトウェアの更新を行うこと)を用いたソフトウェア更新、自動運転用の地図、さらにはその自動生成など、幅広く新しい技術に取り組んで行くことが求められているという。

特にソフトウェアやデータハンドリング技術の重要性は、これまでにないスピードで高まっており、そのような環境変化に対応すべく、同社は2016年にTRIを北米に設立し、AI、自動運転、ロボティクスといった技術の研究を行ってきた。そして今回、さらなる競争力強化を目指し、新会社を設立することを決定した。

新会社の狙いとして、(1)研究から開発まで一気通貫のソフトウェア開発の実現、およびデータハンドリング技術の強化、(2)TRIとの連携を強化し、その研究成果を先行開発、そして製品へと効率良くつなぐ、(3)研究、先行開発領域における、トヨタグループ内での開発の連携強化による開発のスピードアップ、(4)国内外トップ人材採用により開発力を強化しつつ、トヨタグループ内の知能化人材を育成することを挙げている。

これらを実現するために、従来とは異なる発想で新たなスキームを構築することが必要だと考え、今回、アイシンとデンソーおよびトヨタは、自動運転技術の先行開発分野における共同技術開発に向けた覚書を締結。

また、3社それぞれが新会社に開発投資を実施することを予定しており、約3000億円以上の投資を実行することを想定。今後、具体的な共同開発契約の締結を目指し、協議を進めていく方針だ。