"ダムダム"、"キュキュ"、"パシュ"――。
体育館に響くドリブル音や、バスケットボールシューズ(バッシュ)とコートの摩擦で鳴るスキール音、そして弧を描いたボールがネットを揺らす音。目を閉じれば、試合中のバスケットボールコートの中に立っているのではないかと錯覚するほど、臨場感ある音に包まれている。
しかし、"そこ"はコートの中でもなければ、バスケットボール(バスケ)の試合が行われている会場でもない。
映像で試合を観戦するライブビューイング会場だ。
2018年1月14日、日本プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の「ALL-STAR GAME 2018(以下、オールスター)」が熊本で開催された。そして同日、熊本から800km以上離れた東京・恵比寿において、オールスターを観戦する次世代型ライブビューイング「B.LIVE in TOKYO(以下、B.LIVE)」が行われた。
次世代型という名前の通り、B.LIVE会場では音や光をはじめ、さまざまなテクノロジーを駆使した新しいスポーツエンターテインメント体験が提供されるという。では、実際どのような演出が行われるのか。会場に潜入して体験してきた"次世代らしさ"をお伝えしよう。
プレイに合わせたエフェクトで白熱する恵比寿
B.LIVE会場に入ると、まず目に飛び込んでくるのがライブビューイングの主役ともいえるディスプレイ。550インチの大画面に映し出される4K映像は、試合内容だけでなく、選手の表情や汗といった細部までリアルに伝えてくれる。実際の試合会場では見ることのできない角度や選手との距離感を大画面映像で楽しめるのは、ライブビューイングならではの醍醐味といえよう。
もちろん、ディスプレイの大きさだけで次世代を謳うわけではない。今回、B.LEAGUEとICTパートナー契約を締結している富士通の独自アルゴリズムによって、4K高品質映像を熊本から恵比寿へ、最短0.3秒の遅延で伝送することに成功した。さらに、シーンに合わせて画質を高めたり、画質よりもスピードを重視させたりと、調整を行うことも可能なのだ。
オールスターでは、恵比寿と熊本で掛け合いを行うシーンが何度もあったが、音が届くまでのズレなどはまったく感じられず、スムーズなやり取りを実現していた。
そしてもう1つ、映像の特徴として、エフェクト効果を取り入れた演出が挙げられる。ダンクやアリウープといった派手なプレイを決めた際のリプレイ映像に、「DUNK」「ALLEY-OOP」といったタイトルエフェクトや、選手情報などが合成され、会場を一層盛り上げるのだ。人の輪郭を読み取って残像や効果を上乗せする自動解析エフェクトもリアルタイムに実施されていた。