F5ネットワークスジャパンは12月13日、10月1日付けで新社長に就任した権田裕一氏が、F5の日本市場における事業展開ならびに成長戦略について説明。今後は、マルチクラウドとDevOpsに注力していくと語った。

  • F5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長 権田裕一氏

その理由を 権田氏は、「最近はデジタルトランスフォーメーションによって、レガシーの世界が大きく変わっており、それを支えているのはアプリケーションだ。そのアプリの開発に際しては、マルチクラウドとDevOpsを考えていかなければならない。2021年にはアプリの80%がクラウドで開発されるという調査結果もあり、今後、コンテナ移行という大きな変革、それを支えるマルチクラウドという流れに対して、F5が何ができるかを考えた。それは、マルチクラウド上でアプリケーションサービスを提供していくことだ。それによって、新しい価値をつくり、新しいマーケットをつくっていく」と説明した。

こういった戦略を立てた背景には、F5の将来に対する大きな危機感があるという。

「FY17、F5は過去最高の売上をあげているが、われわれは大きな危機感を感じている。これまでF5は、オンプレミスに対するハードウェアビジネス(パフォーマンスゾーン)によって売上をあげてきたが、世の中のマルチクラウド化が進むなかで、それでは時代の流れについていけない。今後注力するのは、トランスフォーメーションゾーンで、これまでとは提供する機能を変えず、提供する形を変えていく。それによって新しいモデルを作れる。このゾーンを立ち上げていくことで、2020年以降の成長につながっていく」(権田氏)

  • F5がこれまで注力してきた領域はパフォーマンスゾーンだが、今後はトランスフォーメーションゾーンに注力するという

具体的に同社が今後進んでいく方向について権田氏は、オンプレミスのミッションクリティカル領域だけでなく、すべてのアプリ、マルチクラウドも対象にEvery App、Anywhereという施策でいくとした。

また、ライセンスも永続使用を前提としたものではなく、使いたいときに使えるサブスクリプションモデルやELA(Enterprise License Agreement)モデルに、製品形態もハードからソフト中心に転換していくという。

「現在、サブスクリプションモデルはわずかだが、2025年にはサブスクリプションモデルが多くを占めるのがあるべき姿だ。そのため、ユーザーもセキュリティ担当者、アプリ開発者にF5をどう認識してもらえるかが課題だ」(権田氏)

  • 今後はEvery App、Anywhere施策で

これらの戦略を踏まえ、権田氏は2020年に売上3割アップを行うとし、「これは背伸びをすれば届く数字だ」と述べた。

これは、ADCのシェア拡大、セキュリティ売上の3倍アップ、およびDevOpsによって達成するという。

  • 権田氏は2020年に売上3割アップを目標として掲げた

ADCのシェア拡大では、サブスクリプション、ELAライセンスという新たなライセンス形態によって、よりクラウド志向のユーザーに訴求し、市場を拡大していくという。

  • 新たなライセンス形態を提供

  • 新たなライセンスによって、ADCの対象アプリ/ユーザーを拡大

権田氏は、これについて、「より多くのお客様にリーチしていくためには、プライスについてもリーチしていかなければならない」と述べた。

セキュリティの売上については、より幅広いマルチクラウド環境でWAFを提供するほか、WAFの新しいサービスをつくり、競争力をアップしていくという。同氏は、「2018年はWAFに注力し、マルチクラウド化における新しいアーキテクチャを発信し、セキュリティ売上アップの第1歩としたい」と語った。

  • より幅広いマルチクラウド環境でWAFを提供

  • WAFの新しいサービスを提供

そして、DevOpsに対しては、アプリ開発者向けのコミュニティ活動、ADCの軽量化、クラウドソリューションテンプレート、自動化ツール連携、可視化プラットフォームなどの製品/ソリューション開発を行うという。

権田氏は「成長のキードライバがDevOpsで、その仕込みの時期がこの3年になる。そのためにしっかり準備を行っていく」と述べた。