クラウディアンは12月12日、クロスコンパスと工場向け異常検知ソリューションの本格的な検討を開始することで合意したほか、ABEJAとは技術連携を発表した。

クロスコンパスとの工場向け異常検知ソリューションでは、同社の製造業向けAI(人工知能)の統合開発環境「Manufacturing-IX(M-IX)」とクラウディアンのオブジェクトストレージ製品「CLOUDIAN HYPERSTORE(HYPERSTORE)」、GPU搭載、カメラ接続、LTE/Wi-Fi通信機能付の小型エッジコンピューティング「CLOUDIAN AI Box(AI Box)」を連携させる。

  • 工場向け異常検知ソリューションシステム

    工場向け異常検知ソリューションシステム

クロスコンパスは、AI開発に必要な学習済みニューラルネットワーク、ニューラルネットワークテンプレート、知能モジュール(処理フロー)、学習用データなどを作成・蓄積・利用・流通させるためのプラットフォーム「Intelligence eXchange(IX)」をベースにした製造業向け人工知能の統合開発環境であるM-IXを6月にリリースし、製造業の現場への導入が開始されている。

昨今、特に製造業の工場、研究開発などのAI開発現場においては、機密保持のためインターネットから隔離されていることが多いことに加え、クラウド事業者が提供するAIサービスやAI学習用データをクラウドに保管しないのが一般的だという。

一方で、AI学習用に収集・蓄積するデータの規模は、従来型のストレージ装置が想定してきた適正量を超えはじめており、クラウドと同様のストレージのアーキテクチャを使い、大量データを経済的、効率的、かつ信頼性高く保存でき、物理的な装置の制約がなく、APIで大量のデータを操作し、AI学習に最適なデータマネジメントができるストレージ基盤が必要となっている。

今回の合意により、両社はM-IXとHYPERSTORE、AI Boxを連携させた工場向け異常検知ソリューションの本格的な検討を開始し、特に機密情報を扱う製造業をはじめとした現場などにおける最適なAI開発基盤として広く普及することを期待しているという。

ABEJAとはPaaS技術「ABEJA Platform」でHYPERSTORE活用に向けて技術連携

一方、ABEJAとは同社のディープラーニングを活用したPaaS(Platform as a Service)技術である「ABEJA Platform」におけるHYPERSTOREの利活用に向け、ABEJA Platform Partner Ecosystem のパートナーに参画し、技術連携する。

ABEJAは、ディープラーニング技術を活用したサービスを提供しており、これまで同技術を活用し、さまざまな大量データの取得・蓄積・学習・解析・出力・フィードバックを行うABEJA Platformの研究開発を行っている。また、ABEJA Platformをベースに、小売・流通に特化したSaaS(Software as a Service)「ABEJA Platform for Retail」は、国内の420店舗以上(2017年10月末時点)に導入され、店舗運営の改善に資するソリューションを提供しているという。

2016年6月には、ダイキン工業の技術開発拠点であるテクノロジー・イノベーションセンターと、ディープラーニングを活用したPaaS領域における協業を開始し、製造業界にも進出している。

クラウディアンは、ABEJA Platform Partner EcosystemのIoTネットワークパートナーとしてABEJAが提供するプログラムに参画することにより、HYPERSTOREとABEJA Platformを連携させたシステムを提供することに加え、オンプレミスにおいて大量データを蓄積しながらAI開発・運用を可能としたシステム環境を構築するという。特に、製造業の工場や研究開発など、機密情報保持のためにインターネットから隔離されクラウド利用が難しい現場、クラウドとオンプレミスを使い分けるハイブリッドクラウドとしての利用を想定している。