iPad Proシリーズ

iPadは、再三指摘してきたとおり「出来が良すぎるデバイス」だった。これはもちろん褒め言葉であるが、一方で低迷の原因でもある。2011年発売のiPad 2や2012年発売のiPad miniでも、大切に使っていれば十分に今でも利用できるほど、性能面や耐久性に優れたデバイスだ。このことが、買い換える動機を削いでいる原因になっている、と筆者は考えている。

別の見方をすれば、最新のiPadを使う理由は何か?という話でもある。

例えばiPad Proを見てみると、ラインアップの中で最も薄く、4つのステレオスピーカーを備え、キーボードやApple Pencilをサポートし、ディスプレイは明るく表示できる色数も多い。カメラだってiPhone 6sと同等のものを搭載している。しかし、もし今、iPad 4を持っていて、自宅で、メール、ウェブ、SNS、ビデオ視聴、簡単なゲームしかしない場合は、iPad Proに買い換える理由を見いだせないだろう。現状の用途であれば、iPad 4は十分快適に動作するからだ。

つまりiPadの販売が上向くには、MacやPCでも、iPhoneなどのスマートフォンでも実現できない、iPadだけでできる「何か」を、Appleとユーザーが見つけ出さなければならないのだ。