一括後請求+IDカード認証対応で法人のニーズに応える新サービス

そうした中、企業のニーズに応える形で登場したのが、先に述べた法人後課金サービス「ネットプリントサービス for business afterpay」だ。通常のネットプリントでは、無料でユーザーを登録でき、プリントするごとに1枚ごとの料金がかかる方式がとられている。しかしビジネスで利用する場合、それでは都合の悪いこともある。業務に利用したコストを企業で負担しようとすると、数十円の領収書を大量に処理しなければならないのだ。

「法人向け後課金サービスを利用すれば、店頭でプリントした時の支払いは不要です。これを実現するために、セブン-イレブンの課金の仕組みに手を加える必要がありましたが、需要が多かったので対応しました」と高田氏は語る。

初期登録料や年間管理料といったコストは発生するが、得られるメリットも大きい。一括支払いができるだけでなく、ファイルの有効期限を延長してより多くのユーザーが出力できるようにしたり、予約番号は変更せずにファイルの内容を変更したりすることが可能だ。

つまり、製品カタログなどをプリントする場合、常に最新の情報を提供することが可能になる。また、利用できるファイル容量も、個人向けの50MBと比べて3倍の150MBが1ユーザー当たりに用意されている。

「さらにセキュリティを保つために出力回数を制限したり、IDカードでの認証を追加したりすることもできます。IDカード認証を行えば、誰がどのドキュメントを何枚プリントしたかということも把握可能です」と高田氏。

利用方法は簡単だ。店頭のマルチコピー機で、普通のネットプリントと同じく「プリント」を選択して、予約番号や暗証番号の入力を行う。通常ならこの後ファイルのサムネイルが表示されるが、法人向けサービスの場合はユーザーIDとパスワードが要求される。IDカードによる認証を利用するならば、ユーザーIDを入力する代わりに電子マネー決済のために設置されたカードリーダーへ社員証などのIDカードをかざせばよいわけだ。

マルチコピー機のメニューから「プリント」を選択

「プリント」のメニューから「ネットプリント」を選択

プリント予約番号を入力

ファイル登録時にに暗証番号を設定している場合は入力

「ネットプリントサービス for business afterpay」利用にあたって同意する画面が表示される

ユーザー認証を行うためIDカードをセット。社員証を活用している企業もあるそうだ

さらに、ユーザーIDにひもづくパスワードの入力が求められる

一般のサービスと異なり、プリント料金は表示されない

プリントの終了とともに、「利用明細書」に関するメッセージが表示される

最後に、IDカード、印刷物、利用明細書のとり忘れがないか、確認してくれる

ネットプリントを愛用している人にしてみれば2画面ほど増えるわけだが、難しいことはない。そして、料金の支払いや経理精算の手間がなくなることを考えると、なかなか便利な機能だと感じられるのではないだろうか。

業務効率化への利用に加え、購入者特典などの新たな利用も

法人向けのサービスが強化されたことで、セキュリティを気にする企業でもネットプリントを利用しやすくなった。直行直帰型の営業を行っている場合も、出先で製品資料をプリントしながら営業に回ることができる。建築業などの現場では、指示書に変更があった時に最新のデータをプリントするような使い方も可能だ。

「セブン-イレブンでも利用されていますが、加盟店向けへのPOPや、災害時の義援金告知など店頭に掲示するものをネットプリントで配布したりもしています」と高田氏。

FAX代わりに使う例もある。アップロードしたデータの予約番号をメールなどで通知すればコスト削減、時間の短縮を実現できる。受け取る側も都合のよい場所で、FAXよりきれいな印字で出力できる。

「後課金に対応したことで、販促の用途で利用できるようになりました。例えば、新たに加わったはがきサイズのプリントを組み合わせ、購入特典として予約番号を配布する形でオリジナルポストカードを無料でプリントといったこともサービスを提供できます。今まで、雑誌などにブロマイドをつける際、店舗にブロマイドを配送して組み合わせて配布していたわけですが、これなら配送も在庫管理もなしで特典をつけられるのです」と佐野氏。

スマートフォンゲームなど、通常であれば物販が存在しない場合も、特典やリアル販売のできるグッズの提供方法として利用されることがあるようだ。都度課金ではなく一括請求という、請求の形を変えることで、ネットプリントは新しい利用方法を生み出したことになる。