2017年3月期 第2四半期決算説明会において、記者団の囲み取材に対応するKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

KDDIは11月1日、2017年3月期 第2四半期決算説明会を開催した。登壇したKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は、不適切な端末購入補助について総務省から"厳重注意"を受けた件について「考えが甘かった」として、反省の弁を繰り返した。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は10月7日に総務省から「ガイドラインに沿わない不適切な端末購入補助が行われている」として、そろって"厳重注意"を受けている。決算説明会の場で、報道陣からこれについて問われると、田中社長は「複数のクーポンを一緒に使うことで、ガイドラインを踏み越えてしまうところがあった。額にすると、数百円で新しい端末を購入できるようになっており、口頭で端末購入補助の適正化を強く求められた」と経緯を説明。

記者から「複数のクーポンを使うことで、ガイドラインに抵触することは認識していたのではないか」と詰め寄られると「故意ではない。運用が徹底できていなかった。反省している」と繰り返した。

複数のクーポンが存在した背景については「株主優待券なども含めると、発行した時期が違うクーポンがいろいろとある状況だった。クーポンに対する考えが甘かった」と田中社長。今後は、配布済みのクーポンの割引額を減額するなどして、是正していく方針で「周知期間などをもうけていく。適正に対処していきたい」と話していた。KDDIではすでにauスマートバリュー提携事業者の加入者向けや、au解約者向けに配布したクーポンについて、割引額の減額を発表している。

総務省では「実質0円」による端末の販売、また「キャッシュバック」を伴う端末の販売を2016年春から禁止した。その狙いは、それまでキャリアが身銭を切っていた「販売奨励金」を廃止することで、長期ユーザーの優遇、月額利用料金の引き下げを実現させることにある。

ただし、総務省の思惑とキャリアの考えが必ずしも一致していないのが現状だ。田中社長は、かねてから「端末の価格は高くなり、結果として売れなくなる」と危機感を募らせている。その一方で、ガイドラインには適正に従う考えを示している。「販売奨励金がなくなるので、300億円は増益要因になるが、これを長期ユーザーに還元する。今期はau STARなどの施策を通じて、100億円くらいを還元する予定だ。これが来季以降、数百億円単位で続いていく。中長期的に見れば、増益と還元がチャラになる」と説明した。

2017年3月期 第2四半期決算説明会のサマリー。営業利益が5,326億円に達するなど進捗に推移しているが、要因の1つとして上げられているのが、販売奨励金の廃止による「コスト減」だ。これを長期ユーザーに還元していくという