大規模な外気空調を導入した4号棟

1~4号棟は、基本的に同じ構造で建てられている。大規模な外気空調を本格導入し、高床高と高天井による空調負担の低減と冷熱分離による効率化をはかっている。

4号棟の空調システム

4号棟に採用された外気空調の仕組みを見ていこう。外気は、気温が低く温度が適している時に空調機から取り込まれ、サーバルームの床下から冷気となって吹き出す。ラック内を冷却したのち、暖められた空気は、天井を経由して、外へ放出される。

床下(左)と天井上(右)に空気が通る空間を設けている

サーバルームの床下から冷たい空気を取り込み、サーバを冷却する

外気を使って冷却することで、空調機の消費電力を抑える働きがある。外気空調を使用しない運用方法と比べて、最大4割弱の空調消費電力の削減効果が見込めるという。

室外空調機のフィルターに水を吹き付けることで、気化熱を利用して外気を効率的に冷やす工夫も

建物全体が空調設備のような5号棟

次は、2013年に竣工された5号棟を見てみよう。こちらは、白河データセンターの3号棟と同じ仕組みを採用している。外気を利用した効率的な空調システムを作るべく、建物全体が空調システムになるように設計。そのため、ファンを極力使わずに最大限の効果が見込める仕組みになっている。

「呼吸するデータセンター」のコンセプト通り、空調モードによって建物の外壁が開いたり、閉じたりする(図は白河データセンター)

5号棟では、年間負荷の8割を外気による自然冷却でまかなっている。空調モードは全6パターンあり、外気温を取り入れて循環させる「全量外気」のほかに、センター内だけで空気を循環させる「全量循環」などがある。温度や天候などに応じて切り替わるが、操作はすべてコンピュータ制御されている。

コンピュータ制御された外壁が開閉して外気を取り入れる

サーバルームの壁から吹き出す冷気によってサーバを冷却

外壁から取り入れた空気はサーバルームの壁から吹き出し、サーバを冷却する。熱を吸収して暖められた空気は上昇し、ホットチャンバーを通り、最終的にチムニーから排気される。建物全体が煙突のようになっているため、ファンを使って排気しなくても、煙突効果と上昇気流により、ホットチャンバーに暖気が集まるという。空気を循環させない場合は、そのまま上部のチムニーから外へ排熱する。

暖気を排気するチムニー

吹き抜けになっているため、ホットチャンバーからサーバルームが見下ろせる

建設中の6号棟

6号棟完成イメージ

建設中の6号棟

新たに建設中の6号棟は、2016年12月中旬の完成を目指している。約610ラックを収容し、Yahoo! JAPANのサービスと、IDCFのクラウドサービス、コロケーションサービスを提供する予定だ。1~5号棟と違い空調方式は水冷空調システムのみだという。

北九州データセンターは、全11棟を建設予定

1~4号棟、5号棟、6号棟と建設が進むにつれ、省エネ化が進む北九州データセンター。「呼吸するデータセンター」のコンセプト通り、データセンター自体が自然な循環で排熱を行っているのが印象深かった。今後も、全11棟の建設を予定する北九州データセンターの動向を見守って行きたい。