AppleはiPhoneの会社

さて、Appleのビジネスを支えているのは、iPhoneだ。本連載も「Apple先読み・深読み」というタイトルで続けさせて頂いているが、中核のテーマとなっているのはiPhoneの話題であることからも、現在のAppleの姿を反映している。

2007年にiPhoneが登場して以来、最も多くのユーザー数を抱えるApple製品となり、しかも毎年その販売台数を増やし続けている。Appleブランドを世界中の人々に届けているのは、他ならぬiPhoneだ。

人間が生活する上で、通信と交通は、新旧入り乱れながらもなくならない産業である、と筆者は考えている。そのうちの通信にまつわるデバイスに進出し成功している点で、当面はAppleがモバイルデバイスの企業で在り続けることを示唆している。

ちなみにAppleには2019年に出荷すると言われている電気自動車の噂もある。前述の通り、人間の移動もなくならない行為であることを考えると、いささか手堅すぎる選択、といえるかもしれない。Appleが本当にモバイルからモビリティの企業に変わるのかどうかは、今後注目していきたい。

話が脱線したが、iPhoneの成功を、いかに他の製品ラインアップへ拡げていくか。これがAppleにとって、一般消費者向けの製品の勝ちパターンとなる。例えばApple Watchは、iPhoneユーザーに向けたプロダクトであり、あるいはiPhoneを利用する理由にまで成長させることを狙っている。

Macも、OS X YosemiteからはiOSデバイスとHandoffという形で連携を始めており、iPhoneユーザーへの提案を行うことで売上を伸ばしつつある。このロジックに乗っかることができていないのがiPadで、販売数を減らしつつあるが、ビジネス向けの需要喚起と、更なる性能向上によってパソコンの置き換えを狙っていく、iPhoneとは別の道を模索中だ。

そして、アプリストアを導入し、Siriや検索の強化を行うテレビ向けセットトップボックス、Apple TVが2015年10月末に登場する。こちらも、iPhoneと同じように、アプリによる魅力を活用して、iPhoneユーザーによる導入を狙っていくことになるだろう。